研究課題/領域番号 |
21K17793
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
喜田 健司 大同大学, 情報学部, 講師 (80778952)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | H∞制御理論 / 逆フィルタ / 音場 / モデルマッチング問題 / クロストーク成分 / 音圧レベル / トランスオーラル / ウェアラブルスピーカ / クロストークキャンセラ / ロバスト制御理論 / 音場再生 / 拡張現実 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は肩掛け型ウェアラブルスピーカを用いて音場再生技術を構築するために必要なクロストークキャンセルフィルタをロバスト制御理論を適用し設計する。 一般的な最小二乗法によるフィルタ設計では全体のエネルギー最小化する手法のため聴覚上問題があるピークディップの考慮がされていないなどの問題がある。ロバスト制御理論では周波数領域で重点的に制御したい帯域に重みを付けることが可能であり比較的平坦な特性のフィルタ設計が期待でき音場再生効果が十分に期待できる。 本研究の先には肩掛け型ウェアラブルスピーカを用いて移動を可能にしつつ同じ音場を複数人で共有できる音の拡張現実(AR)技術の確立を目指している。
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研究実績の概要 |
2022年度の計画はロバスト制御理論を用いたフィルタ設計である。ウェアラブルスピーカから耳までの伝達関数をフラットにするためのフィルタ設計が目標である。本研究ではロバスト制御理論の中でもH∞制御理論を用いて特定の周波数帯域をフラットにすることを試みた。ここで特定の周波数帯域とは通常では人間の可聴域の20Hzから20kHzまでとするのが理想であるが、本研究で使用したウェアラブルスピーカが無理なく再生可能な周波数帯域である200Hzから16kHz程度とした。この周波数帯域をフラットにした上で将来的は別の音場情報や頭部伝達関数を演算することになるのだが、上下左右方向の方向知覚のための手がかりは概ね5kHzから10kHzの成分が重要であることが先行研究で述べられており、その条件を満足しているものと考える。 H∞制御理論を用いて制御器を求めるのだが、本研究では目標関数との誤差が最小となるようなモデルマッチング問題に帰着させ制御器、つまり音場の逆フィルタを求めた。この際に重要なのは重点的に制御する帯域を定める重み関数の選定で、試行錯誤的に最適な重み関数を選定する必要があることが知られている。本研究でも上記の周波数帯域に重点的に制御するための重み関数を試行錯誤し選定した。重み関数によっては制御対象周波数帯域内では十分な制御効果が得られているが、対象外ではゲインが大きくなりすぎたりまたその逆の場合も発生しており、実用化するには後段にバンドパスフィルタ処理が必要となる可能性もある。さらに、制御対象である伝達関数のモデル化精度やモデル化次数に制御結果が大きく影響されており、モデル化次数によっては制御器が求まらない場合も発生している。 しかしながら、ほぼ計画通りの遂行状況であると判断できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H∞制御理論を用いた逆フィルタを求めることができ2023年度に学会発表できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画は主観評価実験を予定しているが、もう少し精度の良い逆フィルタ作成や従来法との数値データでの比較などで本手法の有効性を示すようなデータを取得し、設計方法や制御効果のみでフルペーパーの論文、もしくはショートレターとして論文投稿することも視野に入れて研究を進めたい。また、最終年度であるので今後の方向性も見定めつつ新たな課題をまとめ今後の研究に活かしたい。
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