研究課題/領域番号 |
21K17796
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田辺 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (60847557)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 牽引力錯覚 / ハプティクス / ヒューマンインタフェース / 生体情報工学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,牽引力錯覚が生起する生理学的な機序の解明を目的とする.ヒトは非対称な振動を提示されたとき,振動を一方向に牽引されるような力として錯覚し,さらに牽引される感覚に伴い上肢の運動が生じることが知られている(牽引力錯覚).しかしながら,牽引力錯覚が生起する生理学的な機序は不明で,錯覚を誘発するための振動デバイスの普遍的な設計論が明らかにされていない課題がある.振動デバイスの普遍化を実現するためには,ヒトの特性を理解し,錯覚の生理学的な機序に基づいてデバイスを設計する必要がある.そこで本研究では,感覚特性・運動特性のデータを活用した生体情報工学的アプローチによって牽引力錯覚の機序解明に迫る.
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研究実績の概要 |
昨年度は,牽引力錯覚中の運動特性のデータを取得することの一環として,白杖の基本的な操作であるタッチテクニックを牽引力錯覚によって誘導した.今年度は,より簡易的な実験系で運動特性のデータを収集するために,無線駆動の白杖型デバイスを開発した.本デバイスではBluetoothで振動を制御することができ,振動アクチュエータはバッテリによって駆動することができる.開発したデバイスを用いた際の牽引力錯覚の特性を評価した結果,高い正答率で錯覚を誘発できることが明らかになった(N=10).以上をまとめた論文がIEEE Access誌に採択され,HCGシンポジウム2022の優秀インタラクティブ発表賞と電気学会の優秀論文発表賞を受賞した. また,非対称振動刺激の感覚入力経路を明らかにするために,深部感覚障害の患者を対象とした実験に向けて準備を進めた.昨年度に開発した評価システムを予備的に患者に体験してもらった結果,装置の把持方法に課題があることが確認された.そこで,装置を装着できるように改良を行った.また,簡易的にデータを収集することができるアプリケーションも開発し,実験環境を整備した.しかしながら,今年度は,詳細な実験まで実施する予定であったが,倫理審査等の関係で実験までには至らなかった.そのため,1年間の期間延長を行い,次年度に当該実験を実施する予定である.次年度は,深部感覚障害の患者と健常者の牽引力錯覚の特性のデータを取得するとともに,皮膚感覚や深部感覚の特性も同時に評価する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
牽引力錯覚の運動特性のデータを簡易的に取得するための実験系を構築し,原著論文1報発表し,2件の受賞があり,着実に成果は出ているものの,倫理審査等の関係で予定していた実験を実施するまでには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,深部感覚障害の患者と健常者の牽引力錯覚の特性のデータを取得し,錯覚に寄与する感覚入力経路を明らかにする.
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