研究課題/領域番号 |
21K17812
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 (2022) 国立情報学研究所 (2021) |
研究代表者 |
栗田 和宏 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (40885266)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 近似列挙 / 多項式遅延列挙 / サイズ制約 |
研究開始時の研究の概要 |
列挙問題はその問題自体の効率良い計算の理論的限界の研究が行われるだけでなく,最適化や,データマイニングやデータベース分野でも盛んに研究が行われおり,理論と実用の両面から研究されている重要な問題である.しかし,既存の列挙の理論研究と実用を考えたとき,理論的に効率良い列挙アルゴリズムの研究には課題があると申請者は考える.特に申請者が考える大きな課題は,実用上の有望な解と定式化した列挙問題の解のギャップが大きすぎることである.このギャップにより,列挙した解のほぼ全てが無意味な場合もある.そのため,本研究では実用を見据えた新たな列挙問題の提案とその列挙問題を解くアルゴリズムの基盤技術開発を行う.
|
研究実績の概要 |
本研究では極小部分グラフ列挙において,極小性とサイズ制約を同時に扱う列挙問題に対し,効率良いアルゴリズムを開発することである.このような問題に対するこれまでのアプローチの一つとして拡張問題を解くというアプローチがあった.拡張問題とはある要素を含み,ある要素を含まない解が存在するかどうかを判定するYes/No問題であり,この問題を解くアルゴリズムと最適化,もしくは近似アルゴリズムを組み合わせることで小さな極小解を列挙することができる.しかし,近年の研究により,この拡張問題は大抵NP完全であることがわかってきた.そのため,このアプローチでの本研究で扱う問題を効率よく解くことは容易ではない.そこで,本研究ではもう一つの列挙アルゴリズムの構築技法である解グラフ技法に基づいたアプローチをおこなっている.このアプローチでは解同士に隣接関係を定義することでできた巨大な隣接関係のグラフを探索することで解を列挙する技法である. これまでの列挙アルゴリズムの構築において,この技法では定義されるグラフの強連結性にしか着目してこなかった.しかし,良い隣接関係を定義することで,小さい解と小さい解をつなぐ有向パスには小さな解しか含まれないように有向グラフを定義できることがわかった. この知見から,いくつかの列挙問題に対し,サイズ制約と極小性を近似的に満たしながら列挙するアルゴリズムを構築できることがわかった. さらに,今年度の研究において,極小な部分集合の列挙だけでなく,いくつかの極大な部分集合に関してもこのような有向グラフの定義ができることがわかった.証明の詳細にはなるが,今回の技法において極大で大きな解の列挙と極小で小さな解の列挙は大きく性質が異なる.そのため,極小解の列挙に使った技法は極大解については単純には適用できない.そのため,極大解に対してこのような技法を開発することも興味深い研究課題である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までの研究で,ある程度統一的に小さな極小解を列挙する技法を与えた.さらにいくつかの極大な構造に対しても全く別の証明技法を用いて大きな極大解を列挙するアルゴリズムを開発した.さらに,この技法とは異なる技法で大きな極大解についてもいくつかの結果を示すことができた.しかし,当初予定していた極小解の列挙については申請当時に構想していた一般的な技法で解決できない問題を扱うアイディアがまだ出ていない.その代わりとして,大きな極大な解については一定の研究が進んでいるが,極小な解についての進展は少ない.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針として,グラフの全域木に関する最適化問題を含めた列挙問題について取り組む.全域木は列挙と最適化において共通に扱われてきた離散構造であり,マトロイド等の有用な性質も多く持つ離散構造である.そのため,非常に多くの知見が集まっているため,今後の研究を推進する上での手がかりが見つけられることが期待できる.特に全域木の列挙や最大次数最小の全域木の発見などではともにある種の局所探索によって実現できるため,最適化と列挙の両面においても似た議論ができることを期待する.さらに,マトロイドは組合せ最適化分野で中心的な構造であるため,これらで得られた知見を一般化することで,これまでの技法とは異なるサイズ制約付き極小解列挙の技法の開発に取り組む
|