研究課題/領域番号 |
21K17820
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
山仲 芳和 宇都宮大学, 工学部, 助教 (00804238)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ストレス推定 / ユーザ挙動測定システム / リモートワーク・Web授業 / PC操作測定システム / 磁気式センサ / PC操作 / モデル構築 / パラメータ同定 / 最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
Web講義の増加に伴う学生のストレス急増は,深刻な社会問題となっている.学生をケアするためには,彼らのストレスを正確に把握する必要があるが,既存の検査法は精神的にも設備的にも大きな負担を伴う. 本研究では,Web講義受講生のPC操作からストレスを推定する新手法の開発を目指す.まず,被験者のPC操作を力学モデルのパラメータとして定量化する.同時に,唾液アミラーゼから被験者のストレス量を測定し,データベースを構築する.次に,力学モデルのパラメータからストレス量を推定するニューラルネットワークを構築し,ストレス推定を行う.この推定法は,ユーザの負担が低く,PC操作を伴う多くの場面で活用が期待できる.
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの蔓延を契機としてオンライン授業やリモートワークが急速に増加している.デジタル化・リモートワークが強力に推進される社会情勢を鑑みれば,このような流れは,一過性のものではなく,afterコロナの時代でもますます重要になると考えられている. 一方で,Web講義に伴う提出課題の急増,友人に会えない孤独感,教員とのコミュニケーション不足により,学生のストレスが急増している.過度なストレスは学生の学びを阻害することが知られており,ストレスレベルに合わせた個人ケアが求められる.このためには,まず学生のストレスを正確に把握する必要がある.しかし,既存のストレス検査法は,例えば50問のアンケートへ回答することが必要であったり,特殊な心電・脳波計測が必要など,精神的もしくは設備的に大きな負担を伴う. そこで本研究課題では,ユーザが日常的に行うPC操作を測定対象とすることで,ユーザへの負担が少ない新たなストレス手法の開発を目的とした.このようなストレス推定法を実現するためには,ユーザの動作を模擬するモデルを構築する必要があり,その足掛かりとして,まず複数のユーザによるPC操作データの収集が必須であった. そこで本年度は,昨年度に構築したPC操作のユーザ挙動測定システムを用いて,少人数の被験者を対象にデータを収集した.その結果,ユーザによる随意的な動作に現れる試行ごとのバラつきが大きく,現状の測定システムと設定したタスクによる計測では,多くのユーザを対象とする一般化したストレス推定モデルを構築することが困難であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,昨年度に構築したPC操作のユーザ挙動測定システムを用いて,少人数の被験者を対象にデータを収集した.実際のPC操作で頻出するマウスカーソルの移動に着目して,これを模擬するタスクを設定し,タスク中のカーソルの位置・速度の時系列およびタスク中の被験者の関節変位・速度を測定した. 少数の被験者を対象に,ひとりあたり複数回の測定を行ったところ,ユーザによる随意的な動作に現れる試行ごとのバラつきが大きいという結果が得られた.この結果から,仮に確率的要素を含むモデリングを行った場合,分散に相当するパラメータが比較的大きくなり,ユーザを正確にパラメタライズするには,より多くの試行を必要とすることが示唆された.これにより,測定による被験者への負担が当初想定よりも大きくなってしまう. 以上の結果から,測定対象の変更を含めてタスクの見直しが必要であると判断した.よって,当初計画からやや遅れている状態である.
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今後の研究の推進方策 |
被験者への負担が小さく,かつPC操作を正確にパラメタライズするための新たなタスクを設定する.そのための1つの方策として,現在着目している随意的な動作の他に,ヒトの挙動に現れる不随的な動作に着目する方法が挙げられる.また,複数回の試行をせずに,例えば1回の試行でより多くの測定データが得られるような,静止状態に近いタスクを設定することも考えられ,今後はこれらの新しいタスクとその測定方法を構築する.
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