研究課題/領域番号 |
21K17822
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
升森 敦士 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (10870165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ホメオスタシス / 自律性 / 刺激を避ける原理 / 情報的閉包 / スパイキングニューラルネットワーク / ボイドモデル / トランスファーエントロピー / Downward causation / Transfer entropy / Causal emergence / 自己組織化 / 群れ / スパイキングニューロン / スパイクタイミング依存可塑性 / オートポイエーシス / 人工生命 |
研究開始時の研究の概要 |
生命において適応的に自己を維持するという性質は、ミクロ・マクロなどのシステムのスケールによらず重要であると考えられる。本研究では、細胞、脳、群れというスケールの異なるシステムについて理論研究を行い、適応的な自己維持を実現するための情報処理の原理を見出すことを目的とする。単細胞、脳、群れの各モデルを用いたシミュレーション実験を行い、それぞれのスケールにおける自己維持の方法について研究する。それらの結果をもとに、情報的閉包など情報理論的な手法をベースとした統一的な視点から対比を行い、システムの詳細やスケールによらず、生命にとって本質的なホメオスタシスを実現するための情報処理の原理について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、主に、神経回路と群れの自己維持について情報理論的な手法で研究を行った。神経回路の研究では、刺激を避ける原理と情報的閉包の関係について研究を行い、刺激回避と情報的閉包を実現する方法に対応関係があることが示唆された。群れの研究では、粗視化したスケール間での情報流を計算した。その結果、群れの表面でミクロからマクロへの情報流が高くなり、群れの内部では逆向きの情報流が高くなることが分かり、群れの表面で自己組織的に構造ができそれが安定化していることが示唆された。細胞については、化学反応による学習や自己維持に関して考察し、オートポイエーシスの膜モデルの拡張や反応拡散系によるモデル設計を進めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生命における適応的な自己維持の性質は、システムのスケール(ミクロ・マクロなど)に関わらず、最も重要な特性である。本研究では、細胞、脳(神経回路)、群れというスケールの異なるシステムにおける自己維持について研究を行うことで、生命にとって本質的な適応的な自己維持を実現するための情報処理の原理を探求している。このようなスケールによらない生命の一般的な性質に関する研究を行うことは生命システムの理解に不可欠である。また、ここで得られる成果は、今後、人工システムを生命システムのように自律的でロバストなものへと拡張するために活かされることが期待される。
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