研究課題/領域番号 |
21K17824
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
田邊 遼司 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教 (80780923)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 進化計算 / 進化型多目的最適化 / 選好に基づく最適化 / 意思決定 / 指標 / ブラックボックス最適化 / 多目的最適化 / 選好に基づく多目的進化型アルゴリズム / 自動アルゴリズム生成 / パラメータチューニング |
研究開始時の研究の概要 |
多目的最適化の最終目標は, ユーザが選好するパレート最適解の獲得である. ユーザの選好を満たす非劣解集合のみを近似する選好に基づく多目的進化型アルゴリズムは, 有用な多目的最適化ツールである. しかし, 非エキスパートなユーザが独力で選好に基づく多目的進化型アルゴリズムを実問題に適用するのは, ほぼ不可能である. これは, 多目的進化型アルゴリズムの選定, UI設計, ハイパーパラメータチューニングといった煩雑な工程が必要であったためである. そこで, 本研究ではこれら全ての工程を自動化する枠組みを提案する. 提案する自動生成の枠組みを実問題に適用し, その工学的実用性を明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
選好に基づく進化型多目的最適化手法の自動アルゴリズム構成という最終的な目標に向けて, 本年度は次の研究に取り組んだ.
- 選好に基づく進化型多目的最適化のための指標のサーベイと解析. 進化型多目的最適化手法の性能は, 獲得された解集合の指標値により定量的に議論される. Hypervolumeを始めとするこれまでに様々な指標が提案されている. 自動アルゴリズム構成のためにも, 適切な指標を使用することは重要である. しかし, 選好に基づく進化型多目的最適化では指標についての議論はほとんどされておらず, どの指標を用いれば良いのか定かではない. この問題を解決するために, 選好に基づく進化型多目的最適化のための指標のサーベイと解析をした. 既存の14個の指標を解析し, 最も適切であろう指標を発見した. 本成果は国際論文誌に投稿中である. - 選好に基づく進化型多目的最適化における無限アーカイブと集団数の影響の解析. 進化型多目的最適化において, 母集団サイズは重要なパラメータである. しかし, 選好に基づく進化型多目的最適化に対する影響については, ほとんど知られていない. また, 探索中に求めた全ての非劣解を保持する無限外部アーカイブの有効性も十分に理解されていない. これら2点の問題は選好に基づく進化型多目的最適化手法の自動アルゴリズム構成に深く関わるため, 事前に解決することにした. まず, 本研究では代表的な部分解集合を無限外部アーカイブから選択するための選好に基づく後処理法を提案した. そして, 無限外部アーカイブと母集団の大きさが選好に基づく進化型多目的最適化手法の性能に与える影響を解析し, 明らかにした. 本研究成果は進化計算分野トップ国際会議の1つであるACM GECCO2023にてフルペーパー論文として採択されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選好に基づく進化型多目的最適化における無限アーカイブと集団数の影響を明らかにし, 自動アルゴリズム構成において重要な要素となり得ることを実証した. 特に, 本研究で設計した選好に基づく後処理法は自動アルゴリズム構成にそのまま流用可能である. また, 自動アルゴリズム構成にはアルゴリズムの性能を定量的に評価する信頼できる指標が不可欠である. しかし, 当初の想定以上に指標の研究がコミュニティでされておらず, 未解決問題となっていたため, 本研究独自で取り組む必要があった. この指標の調査・解析に取り組んだ分, 自動アルゴリズム構成そのものへの着手は当初の計画よりもわずかに遅れているが, より建設的な進展が期待できる成果が得られている. これら本年度の研究成果を総合的に踏まえ, 本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
選好に基づく進化型多目的最適化手法の自動アルゴリズム構成を実現する必要要素はこれまでの研究で準備できている. 本年度は実際にアルゴリズムを実装し, 有用性を検証する予定である.
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