研究課題/領域番号 |
21K17836
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
古川 淳一朗 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 研究員 (50721619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | アシストロボット / 運動推定 / 生体信号 / 外骨格型ロボット / ヒト-ロボット協調 / EMG / 画像処理 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、日本を含む先進諸国では超少子高齢社会を迎えるにあたり、ヒトの運動をアシスト可能な外骨格型ロボットが医療や産業分野で注目されている。しかし、効果的に動作支援を行う制御方法は確立されていない。スポーツインストラクターや療法士などの専門家のように、状況に応じて適切な動作補助が行えるアシスト方策の確立が課題であるが、動作の適切性を判断する方法は不明であった。本研究では、俯瞰的なモニタリング情報から状況に応じた動作の適切性を評価できる基準を抽出し共有することで、身体および認知アシストが可能な外骨格型ロボット制御手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、状況に応じた適切な動作へと導くアシストロボット制御手法の構築を目指す。本年度はアシスト機器による支援方策の違いがヒトの運動に与える影響を解析し、適切な動作へと導くアシスト戦略の検討を進めた。調査対象とした運動タスクはヒトの生成する運動のなかでも起点となり、さらには特に負担が高く支援が必要とされる立ち上がり動作に焦点を当てて進めた。運動解析のために、モーションキャプチャーシステム、筋電計測システムをロボット制御時に同時計測可能とするシステムを構築した。本実験では開発した椅子型支援機器を用いた。このアシスト機器は座面が前後・上下に移動することによりヒトの起立動作を支援する。これら構築したシステムを用いて複数の実験協力者により数種類のアシスト方策を適用し、立ち上がり動作における運動情報を取得するとともに実験協力者からの主観評価も実施した。アシストがヒトの運動に及ぼす影響を調査するために、モーションキャプチャーデータからは関節軌道を、筋活動データから筋シナジーの分析を行った。筋シナジーはヒトの複雑な筋制御を説明するための概念であり、ヒトは筋を個別に制御するのではなく、複数筋の協同発揮から構成される少数のモジュール(筋シナジー)を制御しているとするモデルである。これらの分析の結果、特に支援機器が駆動するスピードが変化するとヒトの関節軌道や主観評価が変化する一方で、筋シナジーパターンは大きく変化しないなどの結果を得た。これらから、アシスト機器によって適切な動作へと導く支援方策としては、筋シナジーパターンをできるだけ変化させないなどの戦略が一つの候補であることが示唆された。今後は立ち上がり動作だけでなく他の動作においても支援のヒトの運動に与える影響の調査を進めるとともに、今回得た知見を活かしたアシスト方策導出アルゴリズムの開発を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、適切な動作に導く支援とは何かという問いに対して複数の支援方策を適応し関節軌道、筋活動、主観評価などの計測からヒトの運動に与える影響を調査し、筋シナジーパターン分析から支援方策をデザインするための示唆を得ることができた。以上の結果より、本年度の計画はおおむね順調に進展していると考えられる。しかし、流行していた感染症の影響も続いており、被験者協力による実験が思うように進められなかった部分もあった。
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今後の研究の推進方策 |
立ち上がり動作以外の他の動作においても支援のヒトの運動に与える影響の調査を進めるとともに、筋活動パターンから動作の適切性を評価しアシスト方策を導出可能なアルゴリズムを検討する。
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