研究課題/領域番号 |
21K17840
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
矢久保 空遥 札幌市立大学, デザイン学部, 助教 (50780079)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 柔らかさ / 共感覚的比喩 / 通様相性 / 脳時図(MEG) / 脳磁図(MEG) |
研究開始時の研究の概要 |
感性の神経学的なアプローチにはfMRIが用いられることが多いが, 経時変化を観察できないなどといった問題がある. 本研究では感性評価語である「柔らかさ」に着目し, 感性をもたらす神経基盤の解明を試みる. 具体的には視覚的「柔らかさ」, 聴覚的「柔らかさ」, 触覚的「柔らかさ」, 味覚的「柔らかさ」を感じている時の神経活動をMEG(脳磁図)を用いて解析することで, 時空間的な神経活動の共通性から「柔らかさ」をもたらす神経基盤の解明ができると考えている.本研究方法で感性の神経基盤を明らかにすることができれば, 「柔らかさ」に限らない, 様々な感性の発現メカニズムに飛躍的に迫ることが期待される.
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研究実績の概要 |
2023年度は視覚刺激に対する網羅的な印象評価実験を実施し, 柔らかさをもたらす視覚刺激の特性を明らかにした(未発表). 実験は過去に用意したVRゴーグルのアプリケーションを使用し, HSV標色系に基づきランダムに色を提示した. 実験参加者には提示された色について, 画面上に表示された評価語をどの程度感じるのかをリッカートスケールで回答してもらった. また, 甘味・塩味・旨味・酸味の4味のバランスと柔らかさを始めとする共感覚的比喩表現の関係に関して実験を行った. 甘味・塩味・旨味・酸味それぞれについて4段階の刺激強度を設定し, これらを組み合わせ16の味覚サンプルを用意した. なお, 味覚サンプルは純水にブドウ糖・塩化ナトリウム・グルタミン酸ナトリウム・クエン酸を溶解させたものである. 16サンプルの作成にあたっては実験計画法に基づき, 各味を配合した. この実験の結果, 酸味と塩味の程度と柔らかさの間に重相関の関係が観察され, さらに有意性は低いが甘味との関係も示唆された(未発表). 今後, これまでに得られた聴覚, 視覚, 味覚, 触覚, 聴覚的柔らかさを提示した際の脳活動をMEGを用いて観察し, 「柔らかさ」という感性的な印象がどのような脳活動によってもたらされるのかを明らかにする. また, 各刺激を提示した際の活動の比較から感性がどのような神経基盤に基づき発現するのかを検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で実験を実施できないでいたが, 昨年度で実施すべき実験を全て実施することができ, これまでの遅れを取り戻すペースで研究は進行している. 一方で, 実験データの分析・MEGの使用準備については実施することができなかったため, 2024年度に繰り越すこととなった. 以上の理由から, やや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から繰り越している内容として, 1)これまでの実験のデータ分析, 2)MEG仕様の手続き が挙げられる. 1) に関しては2024年度に入ってから着手しており, 2024年5月段階で概ね完了している. また 2)に関しては目下, MEGを所有している研究者への打診を行っているところであり, 機器の操作・結果の分析等の観点から共同研究という位置付けとして実施することを検討しているところである. なお, 6月中にMEGの使用に関する調整を行い, 9月に実験の実施を検討している.
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