研究課題/領域番号 |
21K17848
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横川 大樹 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80779869)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 診断推論 / 自然言語処理 / Word2Vec / 分散表現 / 埋め込みベクトル / 疾患間距離 / 抄録 / 医中誌 |
研究開始時の研究の概要 |
私は医師が行う病気の診断を人工知能に代替させる研究をしてきました。ある病気と他の病気がどれくらい似ているか=「疾患間距離」について、医師は教科書や経験に基づく推測をしていますが、具体的な数値で表現されたものはありません。医学中央雑誌より約180万件の医学論文の抄録をお借りし、Word2Vecという深層学習の技術によって、ある病気の単語を数字で表現すると、疾患間距離を計算することができます。広い医学の分野に渡り疾患間距離を計算することが、日本発の自動診断システム・診断支援システム構築の礎となる可能性があります。そのシステムの開発と普及は悲劇的な見逃しや誤診を防ぐ未来につながると考えます。
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研究成果の概要 |
疾患を診断する方法(診断推論)の習得を支援したり代替するシステムのうち、実際の医療の現場で使用できるものはない。作成には疾患同士の類似度(疾患間距離)の計算が有用と考えた。医学中央雑誌の1842156件の抄録をWord2Vecにより学習し、疾患を表す単語の分散表現(疾患ベクトル)を獲得し、距離の算出に成功した。 ICD-10(国際疾病分類第10版)と一致する疾患ベクトルは8031個(ICDコードは3915種類)だった。コーフェン相関係数の最大値は0.7748だった。ICDコードとの調整ランド指数、正規化相互情報量、調整相互情報量の最大値は0.3208、0.8783、0.4242だった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
疾患間距離を医学文書から計算することで、主観的な経験則に基づく疾患想起から、客観的な距離に基づく疾患想起への転換が可能になる。医師の経験は収斂され分散表現へと置き換わり、普遍的で汎用性が高い距離データを得られる。これは診断推論の「疾患想起のプロセス」をAIに置き換え、自動診断システムや診断支援システムの開発への第一歩となる。これらのシステムは、自宅で病院へ行くべきか判断する際のサポートツールとなり、医療費削減や医療の質の均質化に貢献し、悲劇的な誤診や見逃しを削減する可能性がある。日本語に基づいたAI診断支援システムを作成するためには、日本独自の研究が必要で、本研究はその基盤となる。
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