研究課題/領域番号 |
21K17849
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名波 拓哉 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90830787)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | シリコン神経ネットワーク / 神経模倣システム / ショウジョウバエ / FPGA |
研究開始時の研究の概要 |
神経科学の発展により、昆虫脳の構造や機能が近年急速に明らかになりつつある中で、本研究では、昆虫の脳を模倣しその柔軟な知性や高いエネルギー効率を実現するシリコン神経ネットワークチップの基盤技術の開発を行う。構造と機能が特によく理解されている嗅覚神経系及び記憶中枢神経系を対象に、シリコンニューロンユニットの低電圧化による低消費電力化や、昆虫脳の神経ネットワーク構造を効率よく実現するバスアーキテクチャ構造といった技術開発を行い、デジタル ASICチップを試作し動作検証や消費電力の評価を行う。本研究で得られる成果は、将来的に昆虫脳全体の機能を実現する昆虫脳チップに発展することが期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度は、シリコン神経ネットワークチップにおいてもっとも重要な構成要素であるニューロンユニットについて、Piecewise Quadratic Neuron (PQN)と呼ばれる新しい手法の提案を主に行った。ニューロンユニットは、神経細胞の挙動のシミュレーションを行うが、PQNユニットは、比較的少ない消費回路リソースで、多種多様なニューロンの活動を忠実に再現するように設計されている。PQNユニットがシリコン神経ネットワークにおいてよく使用されるイオニックコンダクタンスモデル型のニューロンユニットと同等の神経活動の再現性を実現しつつずっと少ない消費回路リソースで動作することを確認した。実装はfield-programmable gate array(FPGA)を用いて行われた。成果は論文にまとめられ英語査読付き有名雑誌に掲載された。また、PQNユニットのハードウェア記述言語を用いたソースコードを容易に使用できる形に整理しGitHubに公開した。 さらに、ショウジョウバエの嗅覚神経系を模倣するシリコン神経ネットワークについては、モデルを改良することで、嗅覚神経系の主要なニューロンの特徴的な発火活動を再現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
application specific integrated circuit (ASIC)技術を用いたシリコン神経ネットワークチップ作成の準備段階として、ニューロンユニット技術の確立と嗅覚神経ネットワークの構築が予定通り行われた。ただし、嗅覚神経系を専門とする神経科学者と議論を行う中で、嗅覚神経系には様々な特徴的な発火活動が見られるが、それらを忠実に再現することが重要であると認識し、ASIC実装の実行よりも、モデルの改良により嗅覚神経系の活動をより忠実に再現することを優先した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、シリコン神経ネットワークチップの実現に向けた実装を行う。まず、ASIC実装に向けた環境を構築し、次に、各ニューロン単位で実装を行い動作を検証する。そして最後に、ネットワーク全体の実装を目指す。神経活動の再現性を損なわない範囲で、システムの最適化を行い、なるべく消費電力が少なくなることを目指す。
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