研究課題/領域番号 |
21K17863
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 雄太 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (20747125)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | プログラミング学習 / 学習活動分析 / 時系列解析 / 予測モデル / 可視化 / システム連携 / 学習支援システム / Learning Analytics / 学習状況 / 情報交換 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は学習者間の情報交換の活性化を目的とした研究開発を行います。演習授業での学生同士のやりとりは、先生からの説明を補う効果があります。しかし、初心者が自身の陥った状況をちゃんと把握して他の人にうまく質問することは難しいことが多くあります。これではそれぞれの学習者の失敗体験が埋もれてしまいます。そこで、学習者同士がうまく情報交換をできるような学習のための空間をシステムとして構築することを考えます。3年間で状況分析の方法と情報交換のための場の設計と開発を行って、実際の授業での評価を行います。
|
研究実績の概要 |
本研究は個別の学習者の学習体験が埋没しがちで、オンライン授業の増加により一層その傾向が強まっているという問題に着目している。学習者の学習の体験を学習者間で共有して活用することにより、それぞれの学習者が自立して主体的に学習することを支援し、クラス全体の学習効果を高めることを目的としている。 学習者の体験全てを共有することは情報量の観点から不適切で、ある程度限定した情報でなければ有効活用することが困難であると考えられる。そのため、プログラミング演習の過程の中でも特に重要な体験について特定することが必要不可欠である。従来、プログラミング授業においては、教師が学習者の学習状況を把握したり、学習者の抱える問題を解消するのを支援するために教室における見回りが行われてきた。見回りによっても学習者の重要な体験を発見することはある程度可能だが、教師が把握できる学習活動の時間幅はそれほど長くない。学習者がその時点で何を書いているか確認したり、その時点での疑問点の解消を支援することは可能なものの、それ以前にどのような苦労があったかといった、学習状況の中長期的な連続的時間変化については把握することが困難である。 そこで今年度は昨年度に引き続き、学習者の状況の時間発展を機械的に分析し、学習者の演習プロセスの特徴を定量的に表現することを目標として、将来的な自動的な介入や注意すべき学習者の教師への通知などに応用可能な技術開発を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究においては、各学習者の学習プロセスの中で特に重要な体験を抽出することが肝要である。しかし、昨年度までの考え方では不十分、または通用しない点が2つあり、改めて重要な体験を抽出する方法について検討し直しており、時間を要している。 昨年度までの研究においては、演習プロセス全体の特徴から課題点数を予測する手法について開発を進めていた。この方法は例えば演習プロセス全体をふるいにかける上では一定の有効性があるものの、プロセス全体の特徴しか考えることができず、本研究の目指すプロセス中の体験抽出という目的に対しては、大ざっぱな粒度でしか有効性を発揮できない。 また、昨年度までの研究においては、演習課題の点数を予測することを目標に予測手法の開発を進めていた。このような予測問題はいわゆるat-risk予測と呼ばれるタスクにおいて考えられることが多く、本研究においてもそれにならい同様の予測モデル開発を行った。しかし本研究においては、演習課題を解けるかどうかを予測することが、必ずしも重要な学習体験の抽出には繋がらないことが判明した。例えば実際の授業の課題提出においては、大多数の学習者が正しい解答を提出する傾向があるが、しかしだからといって全ての学習者が何の問題もなく演習を進めたとは限らない。 1つ目の問題点への対策として、時系列の部分の特徴を考慮できるニューラルネットワークモデルの開発を進めることとした。また、2つ目の問題点への対策として、予測対象を点数からアンケート結果へと切り替えることとした。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は特徴的な学習プロセス部分の抽出手法を確立と、学習体験のマッチング問題に取り組み、学習者の体験情報を相互に提供し合う方法の検討と実装を行う。また、学習環境の動的最適化をより広く捉え、状況に合った学習支援の方法についても検討を行い、他者の体験提供がうまくいかない場合を見越した技術開発を行う。例えば、学習状況に最適な教材推薦手法など、学習者への情報提供を動的かつ最適に行う仕組みを考え、より本質的な情報提供の動的最適化にまずは注力する。
|