研究課題/領域番号 |
21K17881
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
深海 雄介 学習院大学, 理学部, 助教 (10754418)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | テルル / 同位体分別 / 鉄マンガン酸化物 / MC-ICP-MS / 古海洋環境 / 非質量依存同位体分別 |
研究開始時の研究の概要 |
環境中で起きる安定同位体比の変動は、変動が起きた際の化学環境を反映するため、過去の環境変動を読み取るための強力な指標となる。申請者はこれまでに報告例の乏しいテルルの高精度同位体分析手法を開発した。この手法を海洋底に広く分布する鉄マンガン酸化物へと適用した結果、同位体比が海洋の酸化還元状態と対応する可能性が示唆された。本研究では、海洋に普遍的に存在する鉄マンガン酸化物中のテルルについて、同位体比の変動を支配する海洋環境の化学因子を明らかにする。 過去の海洋環境を記録している鉄マンガンクラスト試料へと応用し、環境変動の指標としてのテルル同位体比の有用性を検証し、新しい古海洋環境推定手法を構築する。
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研究実績の概要 |
鉄マンガンクラストに記録された現在から過去にいたる海洋環境の情報をテルル安定同位体比の変動から復元することを目的とする。本年度は同位体比の測定に用いている分析手法についての再検討を進めた。本研究の同位体分析では分析時に起きる同位体分別の補正に濃縮同位体スパイクを用いた手法を用いているが、この手法では測定値の解析の前提として分析時の分別が同位体質量に依存することを仮定している。近年の同位体分析の高精度化に伴い、分析時あるいは分析前処理時の分別として質量に依存しない同位体分別の報告が増えつつあり、分析値の不確かさの原因になる可能性が指摘されてきている。そのため、天然試料の測定値として得られた同位体比の変動が分析時の変動によるものではないことを精密な解析により判断する必要がある。分析時の同位体比変動要因の一つとして挙げられる磁気同位体効果について室内実験を行い、その同位体比変動を高精度測定することで、分別の特徴を他の要因による変動から精密に区別できるかどうかを検討した。その結果、これまで奇数同位体を偶数同位体から分別させるという特徴を持つことが知られている磁気同位体効果による分別について、理論的に予測されていた奇数同位体間の分別の相対関係の特徴を実験的に確認することができた。本研究で着目するテルルは奇数同位体を2つ持つため、両者の偶数同位体に対する変動の相対関係を正確に測定することにより、より精密な同位体分析手法を構築できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定データを取得するための同位体分析手法についての見直しを行っているためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
分析手法の見直しと並行して、鉄マンガンクラスト表面から深さ方向に分割して採取した試料について年代方向の同位体比変動の高精度分析を行うための準備を進め、手法見直しの完了次第、測定データを取得していく予定である。
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