研究課題/領域番号 |
21K17890
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松井 亜子 九州大学, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (00892126)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 脳内炎症 / 制御性T細胞 / TCR / Treg抗原 / マウス胚性幹細胞細胞 / BLM / 放射線線量率効果 / 脳内免疫 / 放射線 / 発がん / ゲノム変異 / 免疫 / 神経疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
低線量・低線量率放射線発がんリスクに関する正確な科学的知見は不足しており、このことは医療被ばく、職業被ばくや原発事故による被ばくの発がんリスク推定に困難を生じさせる原因の一つとなっている。我々は、マウスを用いた発がん実験により、染色体組み換えが発がんへの線量率効果を生じさせる要因である可能性を見いだした。そこで、本研究では染色体組み換え制御因子BLMに着目し、マウス胚性幹細胞および遺伝子改変マウスを用い、放射線発がんにおける線量率効果へのBLM依存的な染色体組み換えの影響を明らかにすることを目的とする。さらに、BLMに依存した放射線発がん機構の新たな一面を見出すため、免疫細胞の関与も検討する。
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研究実績の概要 |
低線量・低線量率放射線発がんリスクに関する正確な科学的知見の不足は、医療被ばく、職業被ばくや原発事故による被ばくの発がんリスク推定を困難なものとする原因の一つとなっており、このことは解決が急がれる問題とされている。我々は、放射線発がんにおける線量率効果のメカニズムを解明するために、遺伝的背景の異なる大腸がんモデルマウスを用いた発がん実験を行い、染色体組み換えが発がんへの線量率効果を生じさせる要因である可能性を見いだした。そこで、本研究では染色体組み換え制御因子BLMに着目し、マウス胚性幹細胞および遺伝子改変マウスを用いて、放射線発がんにおける線量率効果がBLM依存的な染色体組み換えから受ける影響を明らかにすることを目的とする。さらに、脳内の免疫細胞の機能にも注目し、発がんだけではなく脳内炎症性疾患における免疫応答について新たな知見を得ることを目指す。 初年度は、マウスES細胞を使用し、放射線照射によりおこる染色体組み換えへの線量率効果の検証およびBLMの機能の関与を示す研究を行った。昨年度からは、脳内の炎症抑制・損傷修復における免疫応答に関し、脳特異的な制御性T細胞(Treg)が誘導されるメカニズムを明らかにすることを目的とし、脳梗塞モデルや実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスの脳内TregについてシングルセルRNAシークエンスを行い、TCRレパトア解析を行った。その結果、Tregで特にオリゴクローナルに増殖しているTCRが検出された。Tregの機能に関し、本年度は、脳梗塞再発モデルマウスにみられる脳虚血抵抗性への脳Tregの寄与の解明にも取り組んだ。脳梗塞再発時の脳内Tregのケモカイン受容体やTCRに着目し、脳梗塞再発時の脳虚血抵抗性にTregの機能が重要であることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は異動のため、放射線発がんにおける線量率効果に関する研究のから脳内炎症時の免疫応答に関する研究を主に行うこととなった。脳梗塞脳内にみられるTregが誘導されるメカニズムについて、Tregに発現しているTCRに対する抗原に注目した研究を継続して行っている。また、脳Tregの新たな役割として、脳梗塞再発時における脳Tregの機能の重要性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も脳梗塞モデルやその他神経変性疾患モデルマウスを用いて脳Treg誘導メカニズム解明を目的とした研究を継続して行う。脳梗塞やEAEマウスの脳や脊髄のTregのシングルセルRNAシークエンスの結果をもとに、クローナルに増殖しているTCRを選択、クローニングする。次にそのTCRを導入したTregを脳内炎症モデルマウスへ移入し、移入Tregの増殖や脳内浸潤のしやすさを評価し脳Treg誘導TCRを同定する。並行して、脳Tregに抗原提示している細胞を同定し、脳Tregの増殖、生存や機能維持のメカニズムを明らかにすることを目指す。
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