研究課題/領域番号 |
21K17898
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
野坂 裕一 東海大学, 生物学部, 講師 (40803408)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 海洋表面マイクロ層 / 透明細胞外重合体粒子 / 植物プランクトン / 親潮域 / 物質循環 / 糖類 / 珪藻類 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋表面から深さ1 mmまでの薄層を「海洋表面マイクロ層」という。この薄層には、条件により糖、脂質、バクテリア、植物プランクトン、デトライタス等の濃度がそれ以深よりも高濃度で存在することが知られているが、日本国内での研究は殆ど行われていない。そこで本研究では、海洋表面マイクロ層とその直下の水におけるこれらの濃度を調査するとともに、海洋表面マイクロ層とその直下の水に生息する植物プランクトンの培養実験を行うことで、光の強さ(紫外線も含む)に対する糖や脂質生産力、増殖速度などを調査する。
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研究成果の概要 |
海洋表面マイクロ層は海洋―大気間の境目である。海洋表面マイクロ層への物質の蓄積は海洋―大気間の物質交換速度を低下させ、地球温暖化予測などにも影響を与える可能性があるが、世界的に知見が不足している。三陸沖の親潮域は毎年春季に植物プランクトンの大発生し、大量の有機物がマイクロ層に蓄積する可能性があるがその調査は殆ど行われていない。本研究の2022年と2023年5月に行なった調査によって、本生物由来と思われる糖類や脂質が海洋表面マイクロ層に蓄積することが判明した。また、培養実験の結果から、マイクロ層に生息した植物プランクトンの糖類生産速度は光強度や紫外線に対して大きく異なることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
親潮域の春季植物プランクトン大増殖期において、海洋表面マイクロ層には糖類が蓄積することが判明した。この量はマイクロ層直下の水と比較して8倍にもなる場合がある。また、糖類以外の粒子態物質量を比較した場合にも同様の結果が得られた。したがって、本海域の春季植物プランクトン大増殖期では、二酸化炭素などの地球温暖化に関わる物質の海洋―大気間の交換速度が相対的に低下している可能性がある。このことは地球温暖化予測モデルの精度上昇に対し重要なデータの一つとして学術的にも社会的にも有用である。
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