研究課題/領域番号 |
21K17908
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮原 佑宜 東京工業大学, 物質理工学院, 特任助教 (00837768)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 水素酸化細菌 / 独立栄養培養 / ポリヒドロキシ酪酸 / 亜リン酸でヒドロゲナーゼ / 還元力供給システム / 生分解性プラスチック / ギ酸デヒドロゲナーゼ / 亜リン酸デヒドロゲナーゼ / 二酸化炭素資源化 / 低濃度水素ガス / 化学合成独立栄養細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
水素酸化細菌は、二酸化炭素を原料として生分解性プラスチック(ポリヒドロキシアルカン酸:PHA)を合成可能な細菌であり、地球環境の保全および化石資源に頼らない持続可能な開発という観点から、その利用が期待される。しかしながら、水素酸化細菌を培養するためには、発酵槽に多量の水素ガスを供給する必要があり、既存の培養方法では常に爆発の危険性がつきまとうという問題がある。そこで、水素以外の物質からエネルギーを供給する新規なシステムを構築し、安全でかつ効率的な二酸化炭素からの生分解性プラスチック合成方法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
水素酸化細菌Ralstonia eutrophaは、水素、酸素、二酸化炭素の混合ガスを基質として、独立栄養的に増殖可能であり、細胞内にポリヒドロキシ酪酸[P(3HB)]を蓄積する。P(3HB)は、海底でも分解可能な生分解プラスチックとして知られており、このため、二酸化炭素の資源化および環境低負荷材料の創成という観点から、水素酸化細菌の独立栄養培養に注目が集まっている。しかしながら、既存の培養方法では、水素ガスによる爆発の危険性が存在するという問題がある。本研究では新規な還元力供給システムを構築し、安全な独立栄養培養系の確立を目的とする。
昨年度は、水素ガスを用いない培養方法として、ギ酸および亜リン酸を炭素源および炭酸固定の還元力として利用することを検討した。その結果、ギ酸を唯一の炭素源として水素酸化細菌R. eutrophaが増殖することを確認した。さらに、亜リン酸デヒドロゲナーゼを発現する組換え水素酸化細菌を亜リン酸含有培地で培養することで、P(3HB)含有率が増加した。これにより、亜リン酸の酸化反応によって生成した還元力が、P(3HB)生産に利用された可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ギ酸を用いることで、水素ガスを使用しない安全な培養を実施することができた。さらに、亜リン酸の酸化反応を利用した新規な還元力供給システムにより、P(3HB)生産を強化することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ギ酸を炭素源とした独立栄養培養の効率化を図るために、別の生物種から高い活性を有するギ酸デヒドロゲナーゼを取得し、水素酸化細菌の細胞内での異種発現を試みる。また、亜リン酸デヒドロゲナーゼを用いた還元力供給システムを強化するために、既存の酵素にランダム変異導入を行い、酵素活性が向上した変異体酵素の開発を行う。
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