研究課題/領域番号 |
21K17911
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
上田 祐生 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (80806638)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | フルオラス溶媒 / 溶媒抽出 / 第三相 / 金属資源リサイクル / フルオラスリン酸エステル / リン酸トリブチル / 液液抽出 / 凝集現象 / 中性子小角散乱法 / 中性子反射率法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、強力な疎水性を有するフルオラス溶媒を希釈剤とすることで、第三相を生成させず水相との相互溶解を抑制したフルオラス抽出系を構築し、低環境負荷型の新たな分離システムを目指す。さらに、抽出の際の金属イオンの水和水をフルオラス溶媒の強力な疎水性により排除することで、従来系を凌駕する高い抽出能力や分離性能が期待できる。具体的には、工業用抽出剤であるリン酸トリブチルおよびトリオクチルアミンを部分的にフッ素化したフルオラス抽出剤を合成し、貴金属元素の分離プロセスを開発する。
|
研究成果の概要 |
有価金属資源の安定確保は、我が国の重要課題であり、金属資源のリサイクル技術の向上が求められている。広範な産業プロセスにおいて利用されている溶媒抽出法は、金属イオンや抽出剤などの溶質濃度が高い実用プロセスにおいて、不溶性の第三相を生成するという問題がある。この第三相は、プロセスの安定的な運転を阻害するにもかかわらず、根本的な解決策がなかった。本研究では、超疎水的なフルオラス溶媒を抽出溶媒として利用することで、第三相を生成しない抽出系を開発した。このフルオラス抽出系は、従来の抽出系よりも高い抽出および分離能力を発揮しただけでなく、高濃度の溶質を含む条件においても第三相を生成することはなかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で開発したフルオラス抽出系は、従来の有機溶媒抽出系では実現できなかった、高い抽出及び分離能力と第三相生成の抑制能力を共存させることに成功した。このフルオラス抽出系の成功のカギは、フルオラス溶媒の強力な疎水性が、抽出剤と金属イオンが結合する際に疎水場をもたらしたことによる可能性が示された。今後、この疎水場を積極的に利用する概念を他の抽出系に応用することで、より効果的な抽出系を開発でき、最終的には金属資源リサイクル技術を向上させる可能性がある。
|