研究課題/領域番号 |
21K17914
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
勝原 光希 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (60898328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 都市生態学 / ツユクサ / 開花フェノロジー / 遺伝的多様性 / 保全生態学 / 存続性 / 近交弱勢 |
研究開始時の研究の概要 |
都市環境下の在来植物集団における遺伝的多様性の減少が数多く報告されており、今後そのような集団では局所絶滅のリスクが増加していくことが懸念される一方で、実際に在来植物の都市集団を経年観察して集団の存続可能性を評価し、遺伝的多様性との関係を調査した例は多くない。本研究では、里山域から都市域に広く分布する在来一年生草本ツユクサを用いて、都市化に伴う集団の遺伝的多様性及び存続可能性の低下の関係について調査を行う。さらに、野外データ・栽培実験・数理モデルによるシミュレーションを組み合わせ、遺伝的多様性の低下が都市集団の絶滅リスクを増加させるメカニズムを明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
現在世界中で進行している都市化に伴う人口地の増加は、在来植物の生育地の喪失、縮小化や分断化を引き起こし、生物多様性に負の影響を与えることが知られている。都市環境下の在来植物種集団においては、特に遺伝的多様性が低下していることが多く報告されており、今後そのような集団では局所絶滅のリスクが増加していくことが懸念される。本研究では、里山域から都市域にかけて分布している在来一年生草本ツユクサを用いて、都市化に伴う集団の遺伝的多様性及び存続可能性の低下の関係について調査を行う。さらに、野外データや栽培実験を組み合わせ、遺伝的多様性の低下が都市集団の絶滅リスクを増加させるメカニズムについて明らかにし、保全生態学の基礎を担う知見を得ることに加え、生態系の保全や管理に関する新たな示唆を得ることを目的とする。 計画の三年目となる本年度は、初年度に引き続き、岡山市北区の中山間地域と都市地域で選定した調査対象集団を対象に開花量調査を行うと共に、送粉者相調査と集団遺伝学的調査を行った。特に、都市地域におけるツユクサの繁殖生態の実態を明らかにすることを目的に、2つの中山間地域から約200集団、2つの都市地域から約40集団について全開花期間(7~10月)にわたる経時的な開花量調査を行い、開花フェノロジーの集団間比較に取り組んだ。昨年度までのデータと合わせ、開花フェノロジーの年変動や、年変動を生み出す要因について解析を進めている。さらに、いくつか代表的な集団を抜粋して送粉者相調査を行うと共に、Mig-seq法を用いて集団の遺伝的多様性や集団間の遺伝的隔離の程度についても調査を行い、中山間地域と都市地域の集団の比較を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、本年度は本研究課題の肝になる集団遺伝学的調査について実施することができ、計画はおおむね順調に進展していると言える。上述のように、中山間地域と都市地域の200を超えるツユクサ集団に関して、三年間分の集団の開花フェノロジーのデータおよび三年間の集団の在/不在(存続性)のデータ、一部の集団では送粉者相や繁殖成功のデータも得られており、本研究課題の遂行に必要な要素が着々と集まっている。一部の内容については研究室学生の修士論文・卒業論文として共同で取り組み、学会発表を行うと並行して論文投稿の準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、追跡調査を行っている中山間地域と都市地域のツユクサ集団に関して、集団の開花フェノロジーデータおよび集団の在/不在(存続性)データの取得を続けていく。これらを送粉者相データや集団遺伝学的データと組み合わせて解析を進めていくことで、都市環境下におけるツユクサ集団の存続可能性や絶滅リスクをより統一的に理解することを試みる。
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