研究課題/領域番号 |
21K17920
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
稗貫 峻一 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (20791544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ネットワークトラフィック / 産業連関表 / GHG排出量 / エネルギー消費量 / 消費ベース / 情報技術 / 情報通信産業 / 投資 / 生産活動 / サプライチェーン / カーボンニュートラル / 環境影響 / エネルギー政策 / 生活の変化 / 社会の変化 / 次世代通信システム / ライフサイクル分析 / Society 5.0 / 情報通信 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、情報ネットワークシステムの拡大による環境・社会・経済影響をライフサイクルにわたり俯瞰的に捉えるために、ネットワークトラフィック情報と環境・エネルギー情報を産業連関表により結びつけることで、次世代社会システムの導入・普及を分析評価する手法を構築する。これにより、生活や社会の変化が情報ネットワークシステムの拡大を介して環境やエネルギー問題の改善にどの程度貢献するのかを、社会経済効果とのトレードオフを考慮しながら推計することが可能となる。
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研究実績の概要 |
社会全体の通信量の全体像を体系的に把握するためには多くの課題が残されており、情報ネットワークシステムの拡大や増加する通信量と環境影響やエネルギー消費量の関係は明らかにされていない。こうした背景のもと、2023年度は情報ネットワークシステムの拡大によるGHG排出量をライフサイクルにわたり分析するために、産業連関表に対応した情報通信マトリックスを作成し、各最終需要が生じさせる情報通信量の推計と、情報通信量あたりのGHG排出量の推計を実施した。 情報通信マトリックスの作成では、産業連関表における家計、政府、固定資本形成などの最終需要と各産業間の固定通信量と移動通信量を総務省が作成した「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」などにより作成した。次に、作成した情報通信マトリックスと産業連関表を用いて最終需要あたりの情報通信量とGHG排出量を推計し分析した。 その結果、家計消費由来のGHG排出量780百万t CO2eq.のうち約3%が情報通信により生じていた。また、情報通信量に着目すると固定通信の35%、移動通信の24%が家計消費により間接的に生じており、このうちそれぞれの約半数がサービス産業への需要により生じていることが明らかになった。最後に、家計が直接間接的に利用した固定通信と移動通信によるライフサイクルGHG排出量をそれぞれの通信量で除すことで家計が利用する通信量原単位を試算した結果、固定通信約1,200t-CO2eq./Gbps、移動通信約1,700t-CO2eq./Gbpsとなり、移動通信は固定通信の1.4倍のGHG排出量が生じる可能性が示された。 これらの研究成果は、2024年8月に実施される「第33回日本エネルギー学会大会」で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究成果は、いくつかの強い前提条件をおいての試算結果となったが、情報通信分野の専門家との意見交換や、通信産業を対象とした定量的な情報の整備が進んだことで2022年度までの遅れを解消することができた。
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今後の研究の推進方策 |
情報通信分野の技術進捗は著しいため、引き続き関連する分野の専門家と議論しながら研究を進めていく予定である。また、2023年度までの研究は日本国内のみを対象としていたが、2024年度は国外までシステム境界を拡張した分析に取り組む予定である。その際、これまでよりも複雑かつ大規模な行列演算を実施する必要があるため、高性能PCを購入することを計画している。
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