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閉鎖性海域における海洋ごみ政策のデザイン

研究課題

研究課題/領域番号 21K17928
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
研究機関大阪公立大学 (2022-2023)
大阪府立大学 (2021)

研究代表者

千葉 知世  大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (80751338)

研究期間 (年度) 2021-02-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード海洋プラスチック / 海洋ごみ / 海岸漂着物 / サーキュラー・エコノミー / 環境ガバナンス / 政策デザイン / 海岸漂着ごみ / 海岸漂着物処理推進法 / ガバナンス / 環境政策 / プラスチック問題
研究開始時の研究の概要

海洋ごみ問題に対する国際的関心が高まっているが、特に日本では海洋ごみ政策の研究蓄積が十分でなく、どの政策がなぜ最善なのかに関する分析と議論が乏しい。そもそも海洋ごみによる社会経済的影響の実態が把握されておらず、政策論議を行うための情報基盤も欠如している。本研究では、公共政策学における政策デザイン論の視点から、現状把握、目標設定、および政策案選択に関する理論的・実践的検討を行い、海洋ごみ政策のオプションを提示する。その際、対象を閉鎖性海域に限定し、越境性や利害関係者の拡散性といった悪構造を緩和することで、地域特有のコンテクストに応じた、かつ他の閉鎖性海域へも応用可能な知見の獲得を可能にする。

研究実績の概要

本研究は次の3つの研究により構成される。研究1「日本の海洋ごみ政策の変遷と現代的課題の把握」、研究2「海洋ごみが及ぼす地域社会への影響とその対策に関する実態解明」、および、研究3「理論的・実践的検討に基づく政策オプションの提示」である。2023年度は、まず、2022年度に得られた研究成果のうち、ボランティア等によるごみ拾い活動の実態と意義についてまとめ、学術誌に投稿した。査読を経て、現在修正中である。次に、研究2および研究3について次の2つの新規調査を実施した。第一に、海洋ごみが地域住民に与える社会的影響に関する調査である。大阪湾は大半が人工護岸されているため、わずかに残された湾口部の自然・半自然海岸において海岸漂着物が集中的に観察される。そうした地域では海岸漂着物による地域産業への影響、それによる地域住民への心理的影響があると考えられる。そこで、地域住民を対象とした聞き取り調査を実施し、質的データ分析法に基づいて主要な影響に関して考察した。結果、観光業への悪影響に対する懸念や、上流都市域から流出したごみによる悪影響に対する不満感や不公平感の存在が明らかにされた。第二に、企業によるボランティアごみ拾いの活動実態調査である。 2022年度に実施したボランティア等によるごみ拾い活動の実態調査により、ボランティアごみ拾いの実施主体としての民間企業の存在が浮かび上がった。そこで、民間企業のごみ拾い活動に関する意義を企業の社会的責任論・価値創造論の観点から整理するとともに、活動動機を聞き取り調査により明らかにした。結果、業種や企業規模による活動目的や意図の異なりが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度の休業による研究中断期間の発生の影響により研究が予定より遅れた。その後研究期間の延長申請を行い、1年間の延長が決定された。2022年度以降、当該休業による研究の遅れを取り戻すことに尽力し、2022年度に比較すれば当初予定に対する差分を縮めることができたが、依然として理想的な程度まで進められたとは言えない。具体的には、昨年度実施した二つの質問紙調査の成果について、2023年度中に論文発表ができなかった。加えて、 当初(採択時)の研究計画では実施を予定していなかったが、研究を進める中で新たに重要と考えられる調査事項が出てきたこともあり、研究の着地点について若干の見直しが必要となった。具体的には、本研究は具体的な政策オプションの提案までを目標として見据えていたが、調査を進める中で、想定以上の問題の多面性、背景や利害関係者の多様性が明らかにされ、限られた調査結果に基づく巨視的視点からの提言が空疎に終始することが懸念されるようになり、研究対象の限定化を検討している。2024年度は、これまでの研究成果の発表に注力するとともに、研究の到達可能点の再検討を実施していく。

今後の研究の推進方策

2024年度に実施すべきことは以下の3つである。①着地点の見直し:本研究課題は、閉鎖性海域(大阪湾)の全体における海洋ごみ問題に対する有効な政策の検討という提言型の目的を有する研究として当初計画した。そのためには、地域固有の問題や制度と利害関係の総合的・構造的把握が必要であり、主に研究2の遂行によってそれを目指していたが、調査を進めるごとにそれまで見えていなかった新たな問題側面が発見され、此度の研究期間・資源で得られる情報に基づき政策デザインを議論しても社会的意義が希薄であると思われる。そこで、2024年度には研究の焦点を限定したうえで着実な成果を上げられることを重視していく。現時点では、政策デザインの中でも閉鎖性海域の海洋ごみに関するアリーナとアクターの関係性、すなわち海洋ごみによる地域社会への影響とそれに対応するアクター間の役割分担・連携に注目していきたいと考えている。②研究成果の論文化:現在投稿中の原稿に加え、2022年度に実施した沿岸域自治体に対する質問紙調査の結果の発表、および研究1に関する成果の論文化を進める。③沿岸域の住民や事業者に対する社会的影響に関する追加調査:2023年度調査から対象を拡大し、より多面的な影響を記述する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 9件)

  • [雑誌論文] 海洋ごみガバナンスへの挑戦:ポスト・プラスチック社会を求めて2021

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 雑誌名

      ACADEMIA

      巻: 183 ページ: 81-97

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 大阪湾の海洋ごみ問題と市民活動2024

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      JICA 2023年度国別研修「海洋ごみ対策のための廃棄物管理 (A)」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Greenhouse gas emissions from marine plastic collection and recycling: case studies in Tsushima and Osaka Bay, Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Katsuyuki Nakano, Tomoyo Chiba
    • 学会等名
      10th 3RINCs -The 3R International Scientific Conference on Material Cycles and Waste Management
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 社会と水のつながり:政策・ガバナンスの視点2023

    • 著者名/発表者名
      千葉知世, 坂本麻衣子, 森田敦郎
    • 学会等名
      日本学術会議公開シンポジウム「ようこそ社会水文学へ 水と社会の相互作用を考える」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 海洋ごみ問題の改善に向けて:大阪湾での取組2023

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      令和5年度瀬戸内海環境保全トレーニングプログラム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 海洋プラスチックごみ問題と大阪湾での試み2023

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      第45回日本バイオマテリアル学会大会 医歯薬工連携シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 大阪湾のプラごみ問題と流域協働:友ヶ島から見えてきたもの2023

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      MLGsフォーラム「プラごみ問題から琵琶湖と淀川・大阪湾のつながりを考える」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 海洋ごみガバナンスへの挑戦:無人島・友ヶ島から2022

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      瀬戸内海環境保全協会「瀬戸内海研究フォーラムin和歌山」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 海洋プラごみ問題に大阪湾から取り組む2022

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      JST COI-NEXT 第1回「大阪湾プラごみゼロ拠点」公開ワークショップ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 大阪湾流域圏の連携に向けて:友ヶ島からの発信2022

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      環境省シンポジウム「海ごみ削減・里海の未来を和歌山から考える」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 大阪湾の海洋プラスチックごみ問題に向き合う2022

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      大阪大学工業会 産学高分子塾 10周年記念セミナー3
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 大阪湾のプラスチック問題:友ヶ島での調査から2021

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      第32回廃棄物資源循環学会研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 友ヶ島における活動とプラスチック問題2021

    • 著者名/発表者名
      千葉知世
    • 学会等名
      近畿弁護士会連合会公害対策・環境保全委員会 2021年度夏期研修会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] プラスチック一括回収等今後のプラスチック対策の方向性(パネルディスカッション)2021

    • 著者名/発表者名
      崎田裕子、千葉知世、金子洋平、高垣晴夫、平尾禎秀
    • 学会等名
      第15回3R推進全国大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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