研究課題/領域番号 |
21K17935
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
茅根 由佳 筑波大学, 人文社会系, 助教 (70772804)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | インドネシア / 政治 / イスラーム / イデオロギー / 宗教的少数派 / ポピュリズム / 社会運動 / 民主主義 |
研究開始時の研究の概要 |
インドネシアでは、1998年の民主化から約20年が経過した近年になって、イスラーム共同体の利益代表を標榜する社会運動が草の根のネットワークから発展し、顕著な動員力をみせた。本研究では、今日のポピュリズム運動の起点が1950年代のイスラーム政党の指導者の思想と活動にあることに着目し、そのイデオロギーの歴史的形成過程と近年の動員戦略の変化に着目する。そして、これまで宗教的少数派への排他的論理を基調としていた運動が近年政権エリート批判に転換したことによって動員が拡大したことを示す。
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研究実績の概要 |
本研究は、現代インドネシアにおけるイスラミック・ポピュリズムのイデオロギーおよびネットワークを明らかにすることを目的としている。 昨年度までの研究の過程で、民主化以降のインドネシアで台頭してきたイスラミック・ポピュリズムのイデオロギー的系譜を精査していく と、独立後の議会制民主主義時代のイスラーム主義政党であるマシュミ党の思想を原点としていることが明らかになった。そこで旧マシュミ党員たちが出版してきた資料を収集して分析したところ、宗教的少数派に対する排他性とともに、それとは一見矛盾するような立憲主義的民主主義思想が形成されてきたことがわかった。このような思想的体系を明らかにし、民主化以降のポピュリズム運動の広がりおよび2014年、2019年大統領・総選挙の影響を分析した。 2023年度の前半には新たな一次資料の読み込みを進めたうえで、これまでの研究成果をまとめて単著本を執筆することに注力した。そのうえで不足した情報を短期の現地調査で補いながら原稿の執筆を進め、10月に出版にこぎつけた。 この本では、これまで民主化の阻害要因と見なされてきたインドネシアのイスラーム主義勢力として、マシュミ党の系譜に注目し、約1世紀にわたる彼らの思想と活動の軌跡を通時的に再検討することで、新たな視点から同国の現代政治史を捉え直すことを試みた。本書の考察を通じて、インドネシア現代史におけるイスラーム主義勢力の活動と思想的営為を再評価すると同時に、今日の民主化勢力としての限界を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年前半に行った現地調査では想定していた以上に一次資料の収集が捗った。そのため、これまで不足していた情報を短期間で補うことができた。結果として過去2年間のコロナ禍での遅れを取り戻し、単著本の執筆に注力、10月には研究成果を単著本にまとめて成果を発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は2024年2月に実施された大統領選挙および議会選挙におけるイスラミック・ポピュリズムやその対抗勢力の動向について分析をまとめ、査読付き論文として成果を発表する予定である。また昨年度の成果をふまえ、独立以降の歴史的な文脈に位置付けながら、近年の政治的展開と変化について分析を行いたい。
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