研究課題/領域番号 |
21K17939
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
相原 進 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定研究員 (30611694)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | エチオピア / ダンス / 観光 / 伝統 / 技術習得 / キャリア形成 / 資料調査 / 動作分析 / コミュニケーション / 無形文化財 / アーカイブ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、エチオピア都市部におけるダンスの継承と新たな表現の創造の過程における人びとの実践を明らかにすることであり、その成果をアーカイブズ化して発信することで、エチオピアにおける無形文化財の継承と持続的な発展に貢献することにある。第二次世界大戦以降、エチオピアは政治体制が3度変わっている。本研究では各体制下におけるダンサーたちの実践を、資料調査と聞き取り調査により明らかにする。そしてそれぞれの時期に活躍したダンサーたちのダンスの映像記録を作成し、映像をもとにダンスの動作をデジタル化して分析することをつうじて、ダンス表現の変化を通時的に考察する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、エチオピア国内の内戦の沈静化および、新型コロナのための渡航規制が緩和されたことにともない、2022年9月中旬から10月初旬にかけて首都アディスアベバでの現地調査を実施できた。調査では、2021年度までにエチオピア国立劇場の伝統音楽部門でのオンライン調査を通じて収集したダンサーの経歴のデータについて、各インフォーマントへの対面での聞き取りにより最終確認をおこなうことができた。エチオピア国立劇場では、年次報告書などを劇場附属の資料室で収集できた。アディスアベバ市内のダンスを鑑賞できるレストランにおいては、新型コロナ禍下でのダンスに関わる飲食・観光業などの動向を関係者に確認するとともに実地での観察調査なども実施した。 上記の渡航時にはアディスアベバ大学において開催された国際学会「21st International Conference of Ethiopian Studies (ICES)」に参加し、ダンス・音楽・観光に関するパネルを主催した。エチオピアでは伝統的なダンスや音楽に関する研究は2010年代まではあまり進んでいなかったものの、近年はダンスや音楽などの研究が進展しつつあり、パネルを主催したことをきっかけに、現地のダンス研究者との情報交換を進めることができた。また、2022年4月に日本ナイル・エチオピア学会において、ダンサーの経歴に関する調査をもとに、ダンサーたちによるキャリア・ディベロップメントにおける実践に着目して研究発表をおこない、最優秀発表賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
もともと新型コロナおよびエチオピア国内の内戦により現地調査をおこなえないことで研究が遅れていた。2022年に本研究課題で初めてとなる現地調査をおこなえたものの、現地の観光・ダンス関連の業界から離れていったインフォーマントが多くいたこともあり、コロナ以前の人脈と調査環境を整えるために時間と労力を要することになった。また、研究成果のいくつかを学会で発表して一定の評価を得ることができたものの、論文として公表するまでに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2023年9月と2024年2月を目処に、2度の現地調査を実施する予定である。エチオピア国立劇場などが所蔵する資料の収集を進めるとともに、引退したダンサーなどへの聞き取りを通じてオーラル・ヒストリーを収集し、記述された資料と比較・照合することを通じて、ダンスの表現、ダンサーの実践、ダンスにおいて表象される民族・権力に関する考察を進める。また、収集した資料や映像などについて、関係者の許可を得られたものに関してはアーカイブズ化を進めることで研究資料として公開する準備を進める。これと同時進行で、プロのダンサーおよび現地の観光研究者たちとの共同研究の準備を進めることを通じて、プロを目指すダンサーの技術習得および観光業などにおけるアーカイブズの活用の筋道を探る。
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