研究課題/領域番号 |
21K17960
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白石 奈津子 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (90875460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 先住民 / 移動 / アート / アイデンティティ / フィリピン / ディアスポラ / ナショナリズム / 表現 / マイノリティ / 文化復興 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、海外に暮らすフィリピン系移民によるアイデンティティの追及と、そうした人々が展開する古文字Baybayin(バイバイン)の復興運動の事例に着目しながら、人々が構築する「越境ナショナリズム」の姿を明らかにする。現代社会において、ナショナリズムは世界各地でその先鋭化が問題視される事象であるが、その形態や意味、実践のリアリティは、地域・社会によって異なる側面を持つ。本研究は、そうしたグローバリゼーションの渦中を生きる当事者たちの手による“ナショナリズム”の在り方を具体的に記述していくことを通して、内向きの・閉ざされたものとしての従来の“ナショナリズム”の在り方を相対化することを試みる。
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研究実績の概要 |
2023年度は休職により研究に大きな進展はなかったものの、24年度以降の研究をスムーズに進展させるために、以下にあげるいくつかの作業および、関係する研究者や実践家との打ち合わせを行った。 1)フィリピンにおける土着性のイメージと力、自然イメージの現在に関する研究 本研究課題の目的である、フィリピンにおける土着性の現代的想像/創造過程について研究する一貫として、自然や災害に対するイメージをめぐる、ローカルな知のあり方について研究会で報告を行った。さらに、共同研究という形で進めている都市部住民や若年層が抱く自然イメージの研究からの知見を取り込みながら、自身のデータで見られるローカルな文脈に埋め込まれた自然イメージが、どのような形でナショナルなレベルでの自然、土着性のイメージと呼応しているのかを検討している。 このテーマに関しては、24年度にインドネシアで開催される国際学会でも報告予定である。また、他国を事例として「先住性」の現代的意義を理論的に検討している研究者とも意見交換を重ね、本研究課題事例の理論的位置付けを整理している。 2)国際比較に向けての議論、打ち合わせ フィリピン以外の事例での土着性と移動する人々、およびナショナルなイメージとの接続と表現という観点に関して、簡易の調査及び研究者との打ち合わせを進めた。特に、ベトナムのケースに関して、難民、海外移住者の生と植物を題材としたアート制作、活動を行っているベトナム人アーティストの作品鑑賞と本人との対話などを実施し、同時に、日米におけるベトナム人コミュニティを例に移動することとアイデンティティをめぐる表現行為などに知見の深い研究者と複数回議論の場を設けた。フィリピンと同様に移動性の高いベトナムの状況を比較対象としながら、各事例における土着性や、根を張ることのイメージ、移動する人々の身体に関する様々なアイディア共有をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、休職により研究に大きな進展はなかったものの、24年度以降の研究をスムーズに進展させるために、①フィリピンにおける土着性のイメージと力、自然イメージの現在に関する研究を進め、24年度中の国際学会報告の申請を行った(アクセプト済み)また、②フィリピン以外の事例での土着性と移動する人々、およびナショナルなイメージとの接続と表現という観点に関して、ベトナムを中心とした東南アジア研究者及び表現者を対象に、簡易の調査及び打ち合わせを進めた。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況および概要に記したように、23年度中は休職期間だったこともあり、手元のデータの再検討や、ネットワーキングを中心に活動を行った。24年度は、そこで得た知見などをベースに、フィリピンのアートネットワークの展開において重要な役割を果たすキュレーターや、日本国内での活動者へのインタビューや、ベトナムとフィリピンのケースを比較する形で、実際に表現者やキュレーターを招聘したイベント開催を目指している。
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