研究課題/領域番号 |
21K17968
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 真弓 北海道大学, アイヌ共生推進本部, 准教授 (80635003)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 先住民族観光 / アイヌ / 北海道 / エンパワーメント / アイヌ民族 / 先住民族観光Indigenous Tourism / 観光倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
北海道各地でアイヌ文化を活かした観光振興が検討されている現在、アイヌ文化の伝承活動と経済活動の連携、アイヌに対する理解促進の強力なツールとしての観光のあり方や観光現場で表出している課題解決のための研究が求められている。本研究は先住民族観光Indigenous Tourismの理念形成の変遷、先住民族観光の先進国の取組、そして北海道におけるアイヌ民族観光(アイヌ民族・文化が関わる観光)の特徴を明らかにした上で、(1)先住民族観光の議論に日本のアイヌ民族観光を位置づけること、および(2)自律的なアイヌ民族観光に求められる理念や仕組づくりを具体的に提示することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
①カナダおよび台湾における先住民族観光の先行事例にかかる文献資料を収集し、取組の理解および課題や特徴を分析した。 ②北海道平取町における文化環境を活かした観光実践について現地調査を行った。また、平取町と国立台湾史前文化博物館の共催フォーラム「先住民族の環境知識:未来に向けた再構築・活性化の多様な試み」において、平取町における文化環境を活用した文化学習ツーリズムについて口頭発表を行った。 ③アイヌ民族文化財団、カナダ観光局、国立民族学博物館との共催で、国際シンポジウム「先住民観光の挑戦」を2023年9月14日に北海道大学で開催した。シンポジウムには、カナダで観光に携わる関係者(カナダ先住民観光協会会長、先住民アーティスト等)と北海道で工芸や文化施設を通じて観光に携わるアイヌとの対話を通じて、文化実践およびエンパワーメントの機会としての観光の可能性を議論した。 ④北海道内のアイヌ民族観光の今日的取組と課題を理解するため、従前より観光と文化伝承の両立に取組んでいる阿寒湖アイヌコタンにおいて、アイヌ文化の知的財産権保護事業を展開する事業者および行政関係者にヒアリングを行うとともに、実際の観光プログラムの参与観察調査を行った。 ⑤UNWTOが発刊したRecommendations on Sustainable Development of Indigenous Tourism(2019)の和訳版を出版した(デジタル版・印刷版)。和訳版「先住民観光の持続可能な開発に関する勧告」は、実践に関わる関係機関、関係者に提供予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は台湾およびカナダの先住民観光の具体的な取組についての調査研究を行う機会に恵まれた。またその成果として先住民観光の先進国における現地調査のためのネットワークづくりをすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ひきつづき、先住民族観光の先進国における具体的な取組とその実効性を明らかにすること、および北海道内におけるアイヌ文化観光の今日的特徴と課題の把握に焦点をしぼり研究を進めていく。 4月に台湾(高雄)で開催される第3回世界先住民観光サミットに参加し、開催国台湾およびオーストラリア、ニュージーランド、カナダといった先進国での取組について情報収集や関係者へのヒアリングを行う。また、台湾の原住民集落で実践されている文化観光に関する現地調査も行う。 9月にアメリカの国立公園局で実践されている地域のネイティブ・アメリカンがインタープリテーションに関与した実践について現地調査を行う予定である。 北海道内における調査研究では、アイヌ民族観光の中心地である白老、平取、阿寒のほか、これらの地域と広域連携を結び、地域のアイヌ文化に根差した観光振興に取り組む地域も対象とし、実践者や関係者への聞き取り調査を通じて各団体の戦略や現在の課題を明らかにする。 また、これまでの研究成果は観光学術学会大会での口頭発表および6月に刊行されるThe Routledge Handbook of Tourism and Indigenous Peoplesに収録した論文にて公表予定である。
|