研究課題/領域番号 |
21K17969
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
天田 顕徳 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (10866461)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 山岳信仰 / 修験道 / ロッククライミング / 観光 / 正当性 / ゾーニング / アクセス権 / 宿坊 / 宗教 / 権利 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本におけるロッククライミングの「アクセス問題」に注目する。アクセス問題とは、岩場へのアクセスの権利を巡る岩の管理者や地権者とクライマーの摩擦・対立を指す言葉で、しばしばクライマーが信仰対象や天然記念物の岩を「登攀の対象」と見做すことで問題が起こっている。本研究では特に信仰が関わって起こるアクセス問題を取り上げ、関係者の主張を整理するとともに、信仰の現場でゲレンデ開発が行われた国内外の事例を精査し、両者の交渉と意見の調整過程を明らかにする。本作業を通じて宗教文化・伝統文化の保護と、持続可能なゲレンデ整備や観光開発を両立するための基礎資料を提示することが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本研究は、ロッククライミングのゲレンデで起こる「アクセス問題」に注目する。アクセス問題とは、岩場へのアクセスの権利をめぐって岩の管理者や地権者とクライマーとの摩擦・対立を指す言葉である。しばしばクライマーが信仰対象や天然記念物の岩を「登攀の対象」とすることで問題が起こっている。本研究では特に信仰が関わって起こるアクセス問題を取り上げ、「岩を信仰する人々」と「岩を登る人々」双方の立場や主張を整理する。こうした作業を通じて宗教文化・伝統文化の保護と、持続可能なゲレンデ整備を両立するための方途や、それに資する基礎資料を提示することが本研究の目的である。 今年度はコロナ禍の煽りもあり、対面での調査には引き続き困難さを抱えたものの、オンラインを中心にクライマーや登山関係者へのインタビューを継続した。クライミング・ゲレンデの土地の所有に関わる問題や国立公園の管理に関わる問題、ゲレンデ整備の工法に関わる問題などについて、情報の収集・整理を行なうことで、「アクセス問題」に関わる諸問題の〈分解〉を試みた。 また、前年度に繋がりを持つことができた「出羽三山門前町プロジェクト」との協働も継続し、事務局メンバーと密に連携をとりながら伝統的な山岳霊場におけるアドベンチャーツアーの可能性と課題について検討をおこなった。とりわけ本年度は門前町の宿坊主にインタビューを行い、新しい観光施策を地域に〈軟着陸〉させる際のポイントを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で新しい国内のフィールド開拓を断念せざるを得なかったものの、資料調査や基礎データの作成については順調な進捗が認められる。インタビューを継続的に行なってきたことで、地域のコンフリクトが、その実何を原因としているのかという点について類型化が進んでいる。 他方で、センシティブな問題を外部に出したくないという声もあり、データの公開の方法については今後の課題となる。
研究計画の段階では予定していなかったアドベンチャーツーリズムに関する地域協議会と協議は大きく進捗し、羽黒山の宿坊街の宿坊主に対し、幾度もの個別面談を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は極めて順調に研究が推移している羽黒山麓のアドベンチャーツーリズムの事例に焦点を絞り研究をまとめる。 上述の通り、公開の仕方に配慮が必要なデータを多く含む研究となったため、地元のステークホルダーや行政などとも連携をとり、シンポジウムなどの形で収集した情報の地域還元を目指す。
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