研究課題/領域番号 |
21K17975
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 帝京大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
森崎 美穂子 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (60812708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 気候変動 / 低炭素ラベル / SDGs / セベンヌ / アルデシュ / AOC/AOP / 地理的表示制度 / 地域振興 / 観光振興 / 地域経済 / 農泊 / フランス / 景観 / テロワール産品 / 農村ツーリズム / 食文化 / 山岳地帯 / コンヴァンシオン理論 / 価値づけ研究 / 栗 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、SDGsの観点から、地域の食文化と景観の真正化を通じた持続的農村ツーリズム振興の実態解明を目的とする。山岳地域に特徴的な果樹「栗」を中心とした農村ツーリズムを共通テーマとし、日本、フランス、イタリアの比較研究を行う。とりわけ地理的表示を取得した栗と栗製品のバリューチェーンをめぐって、地域農業と農村景観の持続的発展に資するアクター間の共有信念(コンヴァンシオン)がいかに誕生し、ダイナミックに変容し、相互の期待を調整しているかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、SDGsの観点から、地域の食文化と景観の真正化を通じた持続的農村ツーリズム振興の実態解明を目的としている。山岳地域に特徴的な果樹「栗」を中心とした農村ツーリズムを共通テーマとし、日本、フランス、イタリアの比較研究を行う。 2023年度は、引き続き、山岳地域に特徴的な果樹「栗」を中心について調査を行った。アルデシュ栗AOPの組合(CICA)では、地理的表示「統制原産地呼称 AOC」の登録時では検討していなかった高温と乾燥に強い栗の品種をあらためて分析している。また栗の生産者が炭素貯留量を計算できるツールを提供し、炭素貯留を促進する栗の農業慣行を見出すことを挙げている。またアルデシュ農業会議所では、気候変動とその農業の影響についての調査と情報提供を行っている。アルデシュ県では、すでに2018 年に環境移行省が作成した「低炭素ラベル」(2050 年にカーボンニュートラルを達成するために温室効果ガス排出量を大幅に削減することプロジェクト)を実施している。このように本研究課題の調査開始時点での生産者の危機感が、確実に組合の指針・行動へと移されていた。テロワール産品による地域振興、持続的農村ツーリズムは、気候変動による収量の減少に対応することと同時に脱炭素的な農業に転換していることが、これまでの価値(景観と食文化の接合)に加え、SDGsの観点から地域も評価される時代になるであろう。 また2023年にセベンヌ地域の栗が地理的表示産品として登録されたことで追加調査を行ったことで、アルデシュ栗AOPのフードシステムの特徴がより鮮明になった。しかし、比較的近い地域の栗産地が地理的表示制度に登録されたことで、産品の市場での価値の差別化や観光のプロモーションについても今後は産地間競争が生じる可能性があるなど課題も明らかになった。イタリアの調査が大幅に遅れているため、文献調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イタリアでの現地調査が出来なかったため。また国際学会での発表ができず、国際ジャーナルの投稿の準備が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
地域の食文化と景観の真正化を通じた持続的農村ツーリズムの取り組みについて、文化遺産(資源)とSDGsに関わる点、とくに地域の景観となる栗林の維持と炭素貯留量測定ツールの導入など「見える化」の成果について引き続き調査を進める。イタリアの文献調査を進める。文化経済学会で報告を行い、論文の投稿を行う。
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