研究課題/領域番号 |
21K17992
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
藤高 和輝 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (50876662)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | トランスジェンダー / トランスフォビア / 現象学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、「LGBT」という言葉が広く社会に浸透していることからも分かるように、性的少数者に対する社会的認知は急速に進んでいると言える。しかしながら、性的少数者に対する差別意識やフォビア(=嫌悪)はまだまだ社会のなかに強固に存在している。本研究では、性的少数者を排除・周縁化する〈フォビア〉の構造を現象学の手法を用いて批判的に分析する。とくに、近年社会的に問題になっているトランスフォビア(トランスジェンダーに対する差別意識・感情)を軸に分析を行う。
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研究実績の概要 |
昨年度にひきつづき、トランスジェンダーに対する差別意識・ヘイト(=トランスフォビア)を現象学の視点を用いながら研究した。とりわけ、論文「パスの現象学―—トランスジェンダーと「眼差し」の経験」『フェミニスト現象学』(ナカニシヤ出版)においては、サルトルの「対他身体論」を用いて、トランスが他者の眼差しをいかに経験しているか、そのリアルを哲学的に解明する試みを行い、そのような経験から、社会の構造に埋め込まれているトランスフォビアがどのように具体的に働いているのかを分析・解明した。 また、書評論文「町田奈緒士『トランスジェンダーを生きる : 語り合いから描く体験の「質感」』〈還元〉に抗する語り」『GRL Studies』vol. 5, pp. 100-102. 及び「【総括】「能動/受動」を超えて、そして、いかに?」『GRL Studies』vol. 5, pp. 110.を執筆、掲載し、そのなかで町田氏と研究交流をもつ機会を得た。そこで得たアイディアや視点は本研究においてひじょうに重要なものとなった。 また、2024年2月16日に行われた 「『フェミニスト現象学』出版記念ワークショップ(第3パート)」においては、本研究の問題点や課題も浮き彫りになり、今後の研究を進める指針を得る機会となった。 そして、これまで「トランスジェンダーの哲学的研究」を行ってきたが、これまでの研究を単著にまとめる作業を進めた。順調にいけば、本研究の完成年度である2024年度に出版できる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、計画していた翻訳作業に関しては、かなり進捗に遅れてしまっている。この間に、日本国内におけるトランスフォビアが拡大・流行し、それに合わせて、日本のなかでの独自の展開により焦点を合わせた分析が必要になったためである。当初の計画から若干のずれはあるものの、これまでの研究を単著にまとめるめどが立つなど、おおむね順調に進展していると言ってよい状況である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を単著にまとめることを中心に本研究を推進していく。と同時に、まとめた後、本研究に残る課題を整理し、その課題から新たな研究を構想していくこととしたい。
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