研究課題/領域番号 |
21K18002
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大友 邦子 筑波大学, 芸術系, 准教授 (10783269)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 絶滅危惧種植物 / 牧野富太郎 / 植物解剖図 / 印刷技法 / 博物画家 / 図案 / グラフィックデザイン / 植物多様性保全拠点 / デザイン / 描画表現 / 植物学者 / 植物画 / 図案デザイン / サイエンスグラフィック / デザイン評価 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、植物学者によって描かれた植物図の造形特徴を比較分析し、これに基づいて学術情報と意匠性を両立する絶滅危惧種植物の図案デザインの制作手法を導くことを目的としている。研究は調査とデザイン評価検討の 2 段階で構成される。調査は ①野生植物保全拠点園での危惧種植物記録調査、②植物学者による植物図原画と関連文献調査による造形特徴の分析考察を行う。評価実験は調査結果を基に絶滅危惧種植物の図案試料を作成し、植物学研究者による適正評価と一般による印象評価実験による検討を経て、最終的なデザイン案を関連の研究機関へ公開・提供する。
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研究実績の概要 |
以下の1.2の調査を並行した。 1.地域特定多様性保全環境拠点での絶滅危惧種植物の撮影記録調査と植物図関連文献調査絶滅危惧種植物の撮影調査 : 地域固有の絶滅危惧種の実体撮影を焦点とし、今年度は東北・北海道地域と、沖縄県伊是名島等など局所的エリアに自生する種の開花期に記録調査を実施した。 2.牧野冨太郎と植物学者たちが描いた「日本固有種植物の原図」調査文献調査と昨年度撮影した植物原画資料の分類と論考 : 今年度より特に印刷技法の特色がもたらす造形特徴と植物原画の表現の関連性に着目し、植物画の掲載された各時代の試料実物の観察においてはその書籍資料の印刷技法を明らかにしながら調査を進めた。
調査2の牧野富太郎博士による植物図の原画撮影資料の分類と論考については、特に植物図と印刷技法の相関性に着目し、各々の時代にそれらが選択された背景や印刷上の効果、表現における考慮を考察して関連資料の収集も継続した。植物画の描画要素抽出と形態の簡略化、描線、着彩方法と印刷技法の連性について、関根雲停をはじめとした江戸時代に活躍した日本人博物画家の植物画を対象に、当時の木版画資料の近影撮影・観察を行い、木版画ならではの白黒に変換される簡略化表現に着目した。牧野博士が軸とした西洋で活発に用いられる銅版画的な緻密な描写手法とは対照的に、木版画の印刷技法としての特徴として、グラフィックデザインにおける「線」と「塗り」の概念と図的分解の重要性をまとめた。この一部を、1点の論説にまとめた。これらの調査で得られた線と塗りの表現の焦点を整理し、第2段階の実験調査に向け、複数点のラン科植物図案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1段階の地域特定多様性保全環境拠点での撮影資料調査の継続と、文献調査画像の論考に期間を要しており、第2段階の評価実験準備としての試料作成が予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現段階までの調査で、印刷技法と原画の描法が深く関わる点に着目するようになった。そこで、今後は評価実験に際して準備を進める段階で、条件設定に出力(印刷)手段を加え、比較可能な試料作成を行う予定である。銅版画的な「線」のレイヤーが主軸となる描画方法の表現特性、木版画的な「線」と「塗り」の概念を多様に使い分け、形態を簡略化した表現の特性など、今日のグラフィックデザインとしてこれらを適切に活用し、応用する必要がある。 また、図案デザインの作成手法検討にあたって、双方の造形特徴を取り入れ、対象とする植物ごとに適切な試料を慎重に検討していくことが望まれる。具体的ば第2段階の調査計画として、予備実験で線と塗りの表現効果、印刷環境の差異について精査・考慮し、これらの結果を反映した試料制作を経て、本実験としての評価段階へ進行する予定である。
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