研究課題/領域番号 |
21K18007
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
工藤 真生 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40738986)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | ピクトグラム / サイン / 知的障害 / 理解度 / 幼児 / 児童 / 多様性 / ASD / wayfinding / グラフィックデザイン / デザイン / 障害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多様な障害特性を包摂し、各障害種に対応した移動を円滑にするサインシステムデザインを構築するための基礎調査として、1)知的障害・自閉スペクトラム症・発達障害を有する人の「わかりやすさ」に着目し、主にサイン上でのピクトグラムのデザインにおける必要な条件を明らかにする、2)結果に基づいたピクトグラムを適用したサインを公共施設で実装する。そのために、人を対象にピクトグラムのデザインにおける「わかりやすさ」に関する調査を行い、調査結果を基にデザインを制作し、実際の環境下での人の経路探索行動に着目しデザインの評価を行う。得られた結果をもとに、サインをデザインし、公共施設に設置し実装する。
|
研究実績の概要 |
今年度は、公共空間で標準的に使用されているサイン上のピクトグラムについて、知的障害者やASDを有する人がどのような意味に捉えているのかを明らかにした。方法として、知的障害・ASDを有する30名に、彼らの生活に関係があるピクトグラム19項目を選定し、実環境に設置されたサイン上のJIS Z 8210案内用図記号のピクトグラムの意味内容を問う調査を実施した。結果、「案内i」「案内所?」「障害物注意」「上り段差注意」「進入禁止」「非常口」「駅事務室」の理解度が低く、知的障害者やASDを有する人の実生活の中で機能を果たしていないことが推察された。このうち、「駅事務室」は推奨度B、それ以外のピクトグラムは全て推奨度Aであり、安全性及び緊急性に関わるもの、多数のユーザーにとって重要なもの及び移動制約者へのサービスに関わるもののため、図形を変更しないで用いることが強く要請されているものであった。 これまでピクトグラム単体を対象とした理解度調査結果では、知的障害やASDを有する人にとって「非常口」は、理解しやすいピクトグラムとして評価されていた。しかし本調査結果から実空間でのサイン上では「非常口」のピクトグラムは、理解しにくいことが明らかとなった。また、理解度が低いピクトグラムの誤答内容を分類した結果、1)見たままの形を答える、2)類似対象との誤認、3)過去にピクトグラムを見た場所の記憶とピクトグラムの意味が入れ替わる、の3パターンが誤答の傾向としてみられた。3)はピクトグラム単体を対象とした理解度調査では、得られなかった誤答内容であった。サインや実環境と合わせてピクトグラムの評価をすることで、知的障害やASDを有する人がそれぞれの生活環境でピクトグラムをどのような意味にとらえているのか、より近い状態で評価できることがわかった。
|