研究課題/領域番号 |
21K18028
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大貫 良幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (90835993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 予想時間評価 / 海馬 / 大脳皮質 / 皮質脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
将来の事象や取り掛かる作業に掛かる時間の推定は「予想時間評価」と呼ばれ、この神経基盤は未だに不明である。時間の情報処理を担う海馬は大脳皮質と連携して「大脳皮質-海馬ネットワーク」を形成しており、予想時間評価の神経基盤の可能性が示唆される。本研究は、このネットワークの解析を通して、予想時間評価の神経基盤の解明を目指す。まず、皮質脳波計測から 大脳皮質と海馬の連携が予想時間評価機能を担うことを示す。さらに、機能的磁気共鳴画像計測と拡散テンソル計測を用いて、外科的介入後の脳活動・脳構造の変化を検証する。本研究成果は、予想時間評価の神経基盤の解明、及び時間知覚障害の治療法開発への貢献が期待できる。
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研究実績の概要 |
自動車の渋滞や店の待ち時間など我々の日常で時間の見積りが必要な機会は多い。このような将来の事象や取り掛かる作業に掛かる時間を推定する行為は「予想時間評価」と呼ばれ、この認知機能を支える神経基盤は明らかになっていない。本研究では、予想時間評価を反映する海馬と大脳皮質の機能を明らかにするため、非侵襲的脳活動計測であるfMRI計測、大脳皮質や海馬に頭蓋内電極(ECoG)を留置した難治性てんかん患者に対して、予想時間評価課題を実施している。本年度はECoG計測1名計測を実施した。目標とするサンプル数まで到達できていないため、来年度も引き続き計測を実施する。目標とするサンプル数に到達次第、fMRI解析結果とECoG・sEEGデータ解析結果を組み合わせた論文化を試みる。これまでの解析結果として、fMRI解析結果で賦活が認められた背外側前頭前野や頭頂連合野周辺に留置した電極において、時間推定を課す視覚刺激のキューの呈示から500ms以降からキュー終了間際まで高ガンマ帯の継続的な活動が認められた。一方、側頭葉や海馬傍回の周辺に留置した電極においては、時間推定条件時にシータ・アルファ帯域の継続的な活動が認められた。今後は領域間の相互作用を調査する予定である。また、昨年から継続して、海馬多切術・ 軟膜下皮質多切術・海馬および側頭葉の除去を受けた患者に対して、治療前、治療後、治療6ヶ月後に時間推定課題を課す研究を実施しており、本年度は2名の患者を対象に実施出来た。これまで得られた結果と同様、術後1ヶ月時と術後6ヶ月時において約10 秒を超える時間推定が必要な条件で選択的に時間推定が低下する傾向が認められた。こちらもECoG計測と同様、目標とするサンプル数にはまだ到達していないため、こちらも引き続き計測を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による患者数減少の状況が昨年から続いており、定位的頭蓋内脳波計測に関しては目標とするサンプル数に達していない。海馬多切術・ 軟膜下皮質多切術・海馬、側頭葉の除去のいずれかの手術を受けた患者群の検査を手術前後(術前、術後1ヶ月、術後6ヶ月)を引き続き実施しているが、まだ目標とするサンプル数に達することが出来ていない。しかし、年1-5例と継続的に計測出来ていることから、本研究計画はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
データの取得を継続しつつ、fMRI計測と定位的頭蓋内脳波計測の結果を組み合わせた論文化を試みる。海馬多切術・ 軟膜下皮質多切術・海馬、側頭葉の除去を受けた患者のデータに関しても同様にデータの取得を継続し、目標とするサンプル数に達し次第、結果の論文化を行う。
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