研究課題/領域番号 |
21K18040
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
鈴木 郁斗 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (10880768)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 近赤外分光法 / 汗中イオン / 脱水症 / 試薬レスモニタ / 汗中成分 / 熱中症予防 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年患者数が急増している熱中症や、暑熱環境下における作業・運動中の脱水症を未然防止するための「汗中多成分濃度予測用ウェアラブルデバイスの実現」を最終目標とし、まずはその核となる要素技術として、汗中の複数のイオン(ナトリウム:Na、カリウム:K)濃度を、光学的手法により試薬など一切用いずに高精度定量可能な手法確立を目指す。具体的には、NaやKを含む水溶液や人工汗液等を測定サンプルとし、液中のイオン濃度を高精度予測可能な波長およびその組合せ、光路長を検討する。本技術の実現は、化学工業や医薬品工業など「水溶液中の複数の希薄成分モニタリング」を必要とする分野での波及効果も期待できる。
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研究実績の概要 |
前年度はFTIR型分光器を用いた多成分系水溶液(Na:50~250 mg/dL,K:30~150 mg/dL)に含まれる2種のイオン濃度推定実験,ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いた単一成分水溶液の濃度推定実験を実施した.実測濃度と推定濃度との相関係数は前者では0.99以上,後者では0.88以上を確認した. そこで今年度はまず,ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いて多成分系水溶液中のNaおよびK濃度推定実験を実施した.多成分系水溶液は全9濃度で,塩化ナトリウムとリン酸水素二カリウムを超純水に添加し,NaおよびK濃度を調整した.濃度範囲はNaが50~250 mg/dL(100 mg/dL刻み),Kが30~150 mg/dL(100 mg/dL刻み)を組み合わせた.結果として3~8波長程度用いることで,市販イオンメータにより計測した実測濃度と光学的推定濃度の相関係数γはNaで0.9以上,Kで0.77以上と良好な推定精度を確認した. 次に,よりヒトの汗に近いサンプルとして市販の人工汗液に含まれるNaおよびKの濃度推定実験を行った.ヒトの出始めの汗のpHは酸性であることから,人工汗液は酸性(pH5.5)を用いた.人工汗液はNaを240mg/dL含んでいるため,超純水で希釈することで濃度を調整した.Kはリン酸水素二カリウムを超純水に添加することで調整した.Naでは2~10波長を用いてγ>0.95,Kでは1~10波長を用いてγ>0.98と非常に良好な推定精度を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会情勢の影響を受け,当初使用を予定した小型LEDスペクトルメータの入手が難しくなったため,ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いた計測系へ移行した.しかし多成分系水溶液や人工汗液に含まれるイオン濃度推定は順調に進行しており,上記の評価をした.
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今後の研究の推進方策 |
ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いて,アルカリ性および中性の人工汗液を対象とした濃度推定実験を実施し,それぞれの液性における濃度推定精度について検討する.また,これまでにデータを取得した酸性も合わせた3液性サンプルの解析により,pHが推定精度に及ぼす影響について検討する.
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