研究課題/領域番号 |
21K18047
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
橋本 剛佑 関西学院大学, 生命環境学部, 助教 (30868831)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ラマン分光法 / 神経細胞 / ビスフェノールA / 発達神経毒生 / ケモメトリックス / 薬剤感受性 / 神経発達毒性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は化学物質が神経細胞の発達へおよぼす影響を評価する新技術の開発を目指している.まず,神経細胞の分子ダイナミクスと活動電位ダイナミクスを同時に追跡可能なラマン顕微鏡を構築する.次に,神経細胞を培養100日以上の長期間にわたり活動電位測定とラマン測定し,活動電位ダイナミクスと関連したラマンスペクトル変化を抽出する. そして,内分泌かく乱物質ビスフェノール Aを曝露した神経細胞のラマンスペクトルを測定し,作成した評価モデルの精度を検証する.
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研究成果の概要 |
本研究では神経細胞が作る神経回路網の発達状態が化学物質に対する感受性に影響を与えるという仮説を検証した.培養15, 30, 60日目の神経細胞にビスフェノールA(BPA)を添加し,添加後5時間まで,1時間毎に神経細胞のラマンスペクトルを取得し,主成分分析による解析を行った.培養15, 30日目のBPA添加群とコントロール群でチロシンに帰属できるスペクトル変化が観測された.BPAがもたらす発達神経毒生の本質は未成熟な神経回路網中の神経細胞に緩やかかつ長期的に続く興奮毒性であることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって得られた大きな発見の一つは,神経細胞のBPAに対する応答が培養日数によって異なることであった.成熟した神経細胞ではBPA曝露によるラマンスペクトルに変化がみられなかったのに対し,未成熟な神経細胞ではBPA曝露によってラマンスペクトルの変化が観測された.本研究成果は,ラマン分光法が化学物質が神経細胞へもたらす影響を生きたまま評価できることを示している.また神経細胞を長期間培養しながら測定し続けることのできる光学系を確立することに成功し,BPAのような内分泌かく乱物質の他,マイクロプラスチックやウイルスの毒性評価に応用することができるようになった.
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