研究課題/領域番号 |
21K18057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 (2022-2023) 九州大学 (2021) |
研究代表者 |
島袋 将弥 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40883434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | チタン / 銀 / 銅 / 亜鉛 / 抗菌元素 / 感染予防 / 骨形成 / 表面改質 / ポーラスチタン酸化物 / 抗菌性 / 生体内劣化 / 人工関節周囲感染 / バイオフィルム |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会への突入を契機に運動器の退行性疾患が急増しており、チタン製人工関節を用いた外科的治療が積極的に行われている。これに伴い、合併症である人工関節周囲感染が深刻化しており、術中・術後の感染予防が益々重要視されている。銀・銅・亜鉛といった抗菌元素は細菌制御能に優れており、感染予防に有用である。そこで本研究では、生体内における抗菌元素の時間的変化の解明と、その知見に基づいたチタンの表面設計を行い、材料学的アプローチによる感染制御に取り組む。
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研究実績の概要 |
超高齢社会への突入を契機に退行性変性疾患が急増しており、インプラントデバイスを用いた運動機能再建術が積極的に行われている。これに伴い、術後の細菌感染によって惹起される合併症“人工関節周囲感染(PJI)”が益々深刻化している。PJIは術後3か月以内に発症する早期感染と、術後3か月以上経過後に発症する晩期感染に分類されており、術者・患者によって発症時期が大きく異なる。このため、抗菌効果を経時的に制御することができれば、早期・晩期感染の防止が可能となり、運動機能再建術に伴うすべての細菌感染症を解決することができる。しかし、生体内に埋入したインプラント表面では、体液接触による表面変化、タンパク質・細胞接着による表面変化を伴うため、腐食・劣化等の生体内劣化によってインプラント表面に付与した抗菌効果が減弱・消失してしまうことが懸念される。本年度に実施した研究では、抗菌元素の分布制御に取り組み、火花放電を伴う陽極酸化処理により、チタン表面にポーラスチタン酸化物を形成し、当該酸化物の弁作用を活用することで銅粒子を電気化学的に担持した。形成した銅粒子担持ポーラス酸化物は、銅粒子の担持量を制御すると抗菌性と骨形成能を両立することが明らかとなった。また、当該酸化物は少なくとも1か月間は銅の放出を持続し、バイオフィルム形成に対しても優れた抑制効果を示すことが明らかとなった。さらにポーラス酸化物への銅粒子の担持量が至適量であると、細胞毒性は発現せず、酸化物の構造・組成により骨芽細胞の石灰化を促進することを明らかにした。また、酸化物層内に銅粒子を導入した場合よりも、酸化物層表面に銅粒子を担持した方が優れた抗菌性を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、電気銅メッキによりポーラスチタン酸化物表面に銅粒子を担持し、細胞毒性を伴うことなく抗菌性を示す至適銅粒子担持量を探索することができた。またポーラス酸化物層への至適量の銅粒子担持によって、バイオフィルム形成の抑制と骨形成の促進を達成することを明らかにした。以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、本表面処理技術を他の金属系バイオマテリアルへの応用に試みる。
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