研究課題/領域番号 |
21K18080
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
SOUFI MAZEN 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80823525)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 筋骨格解析 / 深層学習 / 疾患進行モデリング / image harmonization / hierarchical modeling / musculoskeletal disease |
研究開始時の研究の概要 |
単一機関で撮影されたCT画像データセットでトレーニングされた深層学習システムは、ドメインシフトの問題があるために、他の機関のデータセットに適用するとパフォーマンスが低下する。本研究の目的は、ドメインシフトの問題に対処するために、多施設データベースのCT画像を用いて、data-driven調和及び階層モデリングに基づいた自動アプローチを開発することである。
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研究実績の概要 |
2021年度に開発した,異なる患者の撮影肢位の間の空間的変動を考慮したデータ調和手法を,2022年度,新たに筋構造に拡張した.本手法は,2つのデータベース(大阪大学医学部附属病院の自然姿勢9例,奈良県立医科大学の疑似立位10例)において,14つの筋肉(9の外在筋,5の内在筋)の正解データを作成して検証した.また,慶応大学と共同研究で,歩行動態を含むデータベース(4DCT;1症例26フレーム)を新たに作成し,検証に使用した.本手法は,いくつかの構造において,従来手法と比較して有意な改善を示した.大阪大学医学部附属病院のデータセットでは,足根骨と中足骨でそれぞれ約8%,5%のDice係数(DC)が増加した.この成果は,医用画像研究会 (MI2022-86) で発表した. 筋骨格系の疾患の進行を解析するために,筋骨格セグメンテーションモデルを開発した.CT装置の機種,メーカー,患者の病状が異なる4つのデータベースを用いて,モデルの臨床応用性を検証した.このモデルは,股関節と膝の間の3つの骨と19の筋肉に対して優れた性能を示し,平均の精度(DC)は0.946で,最先端の精度を達成した. 開発したセグメンテーションモデルは,大阪大学医学部附属病院の2,512症例を含む大規模データベースに適用し,疾患進行のモデリングを行った.疾患の重症度は,自動グレーディングモデルを用いて取得した.重症度情報は,筋肉ごとの体積や平均筋肉量(HU)と組み合わせて,病気の進行傾向を観察した.この実験により,自動化された筋骨格セグメンテーションを用いて,骨や筋肉における疾患進行のモデリングの可能性が示された. 本研究は国際会議(IFMIA2023)で発表し,アワードを受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案した異なる患者の撮影肢位の空間的な正規化法に基づくデータ調和手法は,予定通り様々な患者の撮影肢位を含む3つのデータベースで実装し検証した.現在,画像位置合わせの改良に伴い,検証用の4DCTの新たなフレームを含む追加症例の正解データの準備を検討中である.筋骨格セグメンテーションモデルについては,複数のデータベースで検証を行った.さらに,2500以上のCT画像を含むより大規模なデータベースで疾患進行傾向の検証を実施した.予定通り,大阪大学医学部附属病院と共同で大規模データベースを解析用に整理し,自動解析ツールを構築した.この研究の成果は先に示した国際学会でのアワード受賞となった.しかし,昨年度で企画していた3D画像に基づく階層的な統計的形状・輝度値モデリングは実現されていない.これは次年度の主な課題となる.
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今後の研究の推進方策 |
疾患進行情報を含む大規模なデータベースが用意されているため,筋骨格の構造の形状や輝度値(筋肉量)を統計的にモデリングする処理を行う予定である.特に,CT画像から各構造の領域を抽出する.全患者の各構造の領域は,共通の座標系に位置合わせを行う.全体の形状やピクセル単位の変化は,主成分分析(PCA)などの統計的手法で分析する予定である.患側と健側の統計モデル間の比較を行い,疾患進行の影響を明らかにする予定である.さらに,現在,金属インプラントによる金属アーチファクトのある症例はデータベースから除外されている.これらの画像には金属アーチファクト低減の手法を適用し,解析に含む予定である.データベースは9,000例以上に拡張される可能性があり,縦断的(術前/術後)解析,及び,下肢全体の構造への応用の可能性も検討している.
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