研究課題/領域番号 |
21K18085
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 獨協医科大学 (2023) 慶應義塾大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
柴尾 俊輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50528792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳腫瘍手術 / ハプティクス / 力触覚鑷子 / グリオーシス / 脳神経外科 / 脳腫瘍 / グリオーマ / 髄膜腫 / ハプティクス技術 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
脳腫瘍手術においては、正常脳機能を残しつつ最大限の腫瘍摘出を行うことが、後遺症を残さずに予後を改善するために重要となる。正常脳と脳腫瘍の境界には、グリオーシスという脳組織反応性の層が存在し、このグリオーシスの層を手の感覚で見極めて腫瘍を摘出することで、安全に最大限の脳腫瘍摘出が実現できる。 研究代表者のグループでは、これまでに感覚を伝える手術器具である力触覚鑷子をすでに開発している。 本研究では脳腫瘍およびグリオーシスのマウスモデルでの実験を行い、グリオーシス層判別のための人工知能アルゴリズムを確立すること、また人工知能による判別機能を搭載した力触覚鑷子を開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、硬さを伝達する技術であるハプティクス技術を搭載した力触覚鑷子に、人工知能技術を利用した腫瘍、グリオーシス判別機能を搭載することを目標とする。その前提条件として、力触覚鑷子によって正常脳、腫瘍の判別ができることが必要となるため、これまでの研究では、マウスの脳腫瘍モデルにおいて安定して硬さの測定ができる条件を決定し、その測定条件において正常脳と種々のマウス脳腫瘍モデルの硬さ測定を行ってきた。令和5年度は、それらの違いを再現性を持って判別できるかを検証し、その結果をまとめ論文化することを進めた。具体的には、膠芽腫(SF126-FmC、U87-FmC、U251-FmC)および悪性髄膜腫(IOMM-Lee-FmC、HKBMM-FmC)の細胞株をヌードマウスに移植し、ハプティクス技術を搭載した力触覚鑷子を用いて腫瘍および正常脳組織の硬さを測定した。その結果、膠芽腫(SF126-FmC、U87-FmC、U251-FmC)および悪性髄膜腫(IOMM-Lee-FmC、HKBMM-FmC)はそれぞれ正常脳よりも有意に硬いことが示された。この結果を論文としてまとめ現在投稿中である。 一方、グリオーシスついては、マウスグリオーシスモデルの作成を進めているが、正常脳とグリオーシスの鑑別ができるかの懸念、脳の一部しかグリオーシスしかできないため測定時に正常脳を挟んでしまうという懸念、などがありまだ測定条件の確定まで至っていない。そのため、鑷子による安定した測定法の確立を優先事項として実験を進めている。 ヒトの検体測定については、マウス実験と同様の条件で測定を進めている。測定者と手術日程を合わせるため、測定日に制限があることがわかっていたため、測定用の検体をホルマリン固定しある程度検体が集まったところでまとめて測定する方法をとった。髄膜腫、膠芽腫含め10検体の測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は研究代表者の異動があり、また論文化に向けてのデータ収集を優先していたため、データを元にした機械学習、グリオーシス判別のためのアルゴリズムの決定の段階に到達できていない点で遅れていると考えられる。研究期間を延長したので、機械学習の段階まで行くことを令和6年度の目標とする。
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今後の研究の推進方策 |
正常脳と種々のマウス脳腫瘍モデルの硬さ測定によって得られた結果から、正常脳と腫瘍との間に硬さの違いがあることに加え、腫瘍間でも硬さに違いがあることも判明した。そのため、硬さが腫瘍の何らかの生物学的特徴を反映している可能性が考えられ、それを特定するため膠原線維を始め様々な組織染色を行うことを計画している。この生物学的特性が明らかになれば術中に硬さ測定を行う意義がさらに高くなることが期待される。硬さ測定の安定性、再現性が確認された段階でグリオーシスにおける硬さ測定条件の決定についても進め、グリオーシス判別のための機械学習、アルゴリズムの決定の段階を目標とする。 ヒト検体測定についてもさらに検体数を増やし、データ収集を行う。そのために力触覚鑷子を複製することで、複数の施設での測定を行う体制を準備している。
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