研究課題/領域番号 |
21K18118
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
|
研究分担者 |
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90202978)
一谷 勝之 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10305162)
志水 勝好 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (40261771)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)
2026年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
|
キーワード | 野生イネ / 栽培化 / 生産量推定 / プラント・オパール / 新石器時代 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、世界的なインタレストである「野生イネの栽培化」に関する研究の現状と限界を打破するため、野生イネのプラント・オパール(細胞化石)の密度と形態からその生産性と栽培イネへの変化に関するデータを収集する手法を開発する。 具体的には、6年間をかけ、野生イネの栽培とそのプラント・オパールの分析にもとづく手法の構築と同手法の栽培化過程の異なる地域への適用と検証を行い、実用化を達成する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、世界的なインタレストである「野生イネの栽培化」に関する研究の現状と限界を打破するため、野生イネのプラント・オパール(細胞化石)の密度と形態からその生産性と栽培イネへの変化に関するデータを収集する手法の開発を目指している。当該年度は、本研究を構成する【取組1:プラント・オパールを活用し、野生イネに関する3つの調査分析手法の構築と基準づくり】について、生産量推定の詳細な検討のための栽培と分析を行った。また、【取組2:構築した手法と基準の運用と効果の検証】について、海外調査の具体的な準備と交渉を開始した。具体的には、以下のとおりである。 ・東アジアの栽培イネO.sativaの祖先野生種であるO.rufipogonならびにO.meridionalisについて、各部の重量ならびに葉身中に形成された機動細胞由来のプラント・オパールの数を調査するとともに、形状の分析を行った。その結果、密度や形状には系統間に有意な差異があり、生産量や系統の推定に見通しを得ることができた。 ・より自生の状態に近づけるため、2系統の野生イネを水田土壌を充填したトロ舟に3種類の株間を設定して栽培し、生長量を比較した。結果、系統により、出穂期までの草丈の伸張に顕著な差異が認められた。また、栽植密度と地上部乾物重にも一定の傾向が見られた。 ・野生イネの生育試験の予備実験および野生イネと栽培イネの雑種に野生イネまたは栽培イネを戻し交雑して、プラント・オパールの遺伝子分析に使用可能な材料を育成した。 ・海外調査のための予備調査の結果、タイ東北部であるサコンナコンのノンハン湖ならびに現地大学の保有する野生イネ自生地保全区が多年生イネ生産量調査に適していることが明らかとなり、現地調査のため、タイの研究者との連絡調整ならびに担当政府機関への申請準備に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、計画2年目であるが、採択前から先行して取り組んだきた試料とデータを有しているため、ポット栽培段階であるが、一定数の野生イネの系統について、生産量と系統判別の推定の検討に必要な基礎データを整備することができた。また、その分析から、これらの推定が可能である見通しを得ることができた。さらに当該年度では、より実際に近い状態での栽培実験を行い、分析試料を採取するところまで研究を進めることができた。一方、海外調査については、コロナの影響で実施が困難であり、翌年度の実施を想定したタイでの調査の交渉の開始に止まった。 以上の点から、2022年度は、おおむね計画どおりに研究が進展したと判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に得られた実績を踏まえつつ、当初の研究計画に沿って、研究を推進する。特に、海外調査については、最近のコロナの状況に応じ、具体的な調査に着手してゆきたい。無論、コロナの状況が悪化した場合には、収集済みの海外試料の分析など、柔軟に展開してゆくこととする。 【取組1:プラント・オパールを活用した、野生イネに関する3つの調査分析手法の構築と基準づくり】①野生イネの存否:野生イネと栽培イネのプラント・オパールの形態には一定の差異が認められる。そこで、両者のプラント・オパールの形態を数値化し、判別基準を作成することで、土壌中の野生イネプラント・オパールの存否を判定する手法を構築する。②野生イネの生産性:イネが生産するプラント・オパール数と種実の重量には、相関関係があることが知られている。 そこで、野生イネを栽培し、両者のデータを収集し、野生イネのプラント・オパールが確認された土壌の範囲(面積)と土壌中のプラント・オパール数(密度)から、種実重(生産量)を復元する手法を構築する。③野生イネの栽培種への変化:野生イネと栽培イネを交配(雑種第一代に栽培イネ、野生イネをそれぞれ連続戻し交雑)して、そのプラント・オパール形状と遺伝情報を調べ、栽培化の程度を推定する基準を構築する。また、あわせて、イネの栽培化に関連する遺伝子とプラント・オパール形態との関係について、遺伝的な解明も試みる。 【取組2:構築した手法と基準の運用と効果の検証】この取組は2つのステップで行う。 ステップ1:研究代表者の下に保管されている、栽培化の初期段階に相当する新石器時代のボーリング土壌について、構築した手法と基準を適用し、具体的な運用と有効性の検証を試行する。ステップ2:栽培化の過程が生じたと想定される遺跡やその周辺のボーリング土壌のプラント・オパール分析を行い、手法の有効性を検証する。
|