研究課題/領域番号 |
21K18122
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
稲村 哲也 放送大学, 教養学部, 客員教授 (00203208)
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研究分担者 |
山田 恒夫 放送大学, 教養学部, 教授 (70182540)
奈良 由美子 放送大学, 教養学部, 教授 (80294180)
鈴木 康弘 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (70222065)
石井 祥子 名古屋大学, 減災連携研究センター, 研究員 (30398359)
小貫 大輔 東海大学, 教養学部, 教授 (60439669)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2026年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | リモート教育 / 遊牧社会 / 山岳地域 / 先住民社会 / レジリエンス / リスクコミュニケーション / 災害・防災 / ジェンダー / モンゴル / 遊牧 / 山岳高所 / ブータン王国 / コンテンツ制作 / ヒマラヤ / アンデス |
研究開始時の研究の概要 |
インターネット等によるリモート教育システムは、遊牧民や山岳民等が伝統的な生活を維持しながら高等教育を受けることを可能にするものであり、現地の人々のニーズと期待は大きい。そこで本研究では、モンゴル国立大学との共同により、リモート教育の「モンゴル・モデル」を構想して試行し、その効果と課題について多角的に明らかにする。さらにヒマラヤ、アンデスなど他地域への応用を試み、地域間の比較を行い、地域適合型のリモート教育モデルを構想する。
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研究実績の概要 |
本研究は、遊牧・山岳・先住民地域等におけるリモート教育のあり方を探求し、地域特性と社会変容に適合し、防災、リスクコミュニケーションなど、レジリエンスの強化にも資するモデルの構築を目的とする。 2022年度は、放送大学とモンゴル国立大学(NUM)の間の大学間包括協定に基づき、奈良がNUMを訪問し副学長らと協議を行い、稲村と現地協力者のバトトルガ教授による調査でこの数年間の進展状況を把握した。NUMでは、moodleによるオンライン授業(2科目)の試行を行い、100人程度が参加したが、徐々に減少し最終的には少数のみが修了できた。課題が大きいことが判明したが、一方でリモート教育の意義を確認し、新たなシステムの開発を始めたところである。また、石井が、北西部遠隔地域のフブスグル県で、リモート教育のニーズの調査を実施した。コロナ禍により教育現場ではPCや通信環境が急速に整ったが、PCやWiFiがない家庭(特に遊牧民)は多くオンライン授業に参加できないなどの課題がある。しかし、総じてリモート教育の利点、可能性への期待が高いことが確認できた。 小貫は、これまでに、(在日ブラジル人児童の教育に携わる)在日ブラジル人の教師養成のためのリモート教育プログラムをマトグロッソ大学と東海大学との間で実践した経験がある。その経験をふまえて、2022年度は、在日ブラジル人の教育等に関するニーズや可能性を探った。小貫の専門であるセクシュアリティやジェンダーに関する教育の必要性は高く、そのための実践の仕組みについて検討を重ねた。 ブータンに関しても、放送大学とブータン王立大学との間で交わした大学間協定に基づきCOVID-19パンデミック前に進めていたGNHをコンテンツとしたリモート教育プログラムについての再開を決め、今後の実施体制を整えた。 さらに、今後の研究の展開のため、ニュージーランド先住民の調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID=19パンデミックの状況が落ち着きを見せるなかで、2022年度は現地調査が可能となったため、モンゴル国立大学(NUM)と連携した実践的活動を推進できた。それによって、NUMおよび現地社会の現状把握ができ、今後の研究計画の策定が可能となった。具体的には、稲村が2022年9月にモンゴルで調査を行い、奈良が10月に放送大学の交流協定校であるNUMの副学長ら関係者と意見交換を行い、リモート教育とともに、リスクマネジメントに関するコース開発など、両国間での協働を検討することとなった。 本研究プロジェクトは、JICA草の根技術協力事業(パートナー型)「モンゴル・ホブド県における地球環境変動に伴う大規模自然災害への防災啓発プロジェクト」(代表:鈴木康弘名古屋大学・減災連携研究センター教授)とも連携しているが、パンデミック状況下においては、NUMを通じて、現地(モンゴル西部ホブド市)の市民及びモンゴル非常事態庁ホブド支部との間の活動をオンラインで結んで継続してきた。また、オンラインと現地訪問により、市のバグ(地区)長、ソーシャルワーカーらを中心に進めてきた市民主体の防災ワークショップや、児童たちによる「防災カルタ」の制作と大会を推進してきた。その過程で、NUMの付属スタジオを活用し、防災にかかわる映像コンテンツの制作・編集作業も行った。こうした実践も、本研究プロジェクトの進展と連動し、研究と実践の幅と意義を拡大してきた。 ブラジルに関しては、在日ブラジル人に向けた、セクシュアティティやジェンダーの教育のオンライン講座の「実証研究」を目指し、そのコンテンツの研究を進めた。この分野は、災害と並んで、(より見えにくい)在日外国人の「社会的な脆弱性」の重要課題である。多文化共生にとっても重要であり、その比較文化的な研究実践は、ブラジルにとっても、日本の社会にとっても、大きな貢献となりうる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの初年度は、COVID-19パンデミックのため現地調査ができなかった。しかし、その間パンデミックの影響により、モンゴル国立大学(NUM)におけるリモート教育への関心が大きく高まり、組織化がすすめられた。2022年度には、短期間ながらモンゴルでの現地調査を実施し、その進展の状況が明らかになった。具体的には、教員育成を目的とする「教育センター」が、2018年から「教員発展・リモート教育センター」、さらに、2023年から「教員発展・学習支援センター」として再構築された。その背景に、リモート教育の本格的導入、そのシステム化と教員のスキル向上などの意図がある。以前は、教員たちによる自発的な講義のビデオ化という試みが小規模に行われていたが、2020年4月から遠隔教育(通信教育)規則が策定され、2021年度にリモート教育・講座作成・運営に関するガイドブックが作成され、オンライン教育のシステム化が始まった。 こうした流れは、本研究プロジェクトの計画の当初の想定超えるものであり、同時に、プロジェクトの先見性と意義拡大を示すものである。そこで、今後は、現地協力者のバトトルガ教授と共に、センター長のオトゴンツェツェク氏と連携し、課題の分析と改善策、モンゴルに相応しいリモート教育コンテンツ制作とシステム化を構想する。 ブラジルにおいては、マトグロッソ連邦大学などを訪問し、遠隔教育の現状、および、ブラジルと日本とが共同で運営する、セクシュアリティとジェンダーのリモート教育講座の構築の可能性を中心に、調査を推進していく。 ブータンにおいては、COVID-19流行以前に進めていた、GNH(国民総幸福量)を主題としたコンテンツの制作とリモート教育の推進に向けた研究実践を再開する。また、ネパールなどの他地域におけるリモート教育の現状などについても、調査研究を進めていく。
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