研究課題/領域番号 |
21K18127
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
唐 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10257743)
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研究分担者 |
辻中 豊 東海大学, 政治経済学部, 教授 (70145944)
中岡 まり 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (80364488)
毛 桂栄 明治学院大学, 法学部, 教授 (90252212)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 地方政府のイノベーション / 政治的応対能力 / 苦情処理システム / 市民ホットライン / 陳情(信訪)システム / マスメディアの公式報道 / マスメディアの内部報道 / 対話チャンネル / 選挙駆動型 / 危機駆動型 / 政治昇進 / 資源の配分 / 地方政府間の競争 / 後発吸収型 / 先発模索型 / 地方イノベーション / 政治的応答性の動機付け / 支配の正当性 / 昇進基準 / 一党支配 / 成功モデル / イノベーションの推進体制 / イノベーションの手法 / イノベーション / 動機付け / 実施体制 / 地域間競争 / 比較分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は以下の三つの側面から中国の政策/制度イノベーションの構造的な特徴を捉える。1)「政治的応答性とエリート動機の分析」では、民主主義国家と比べれば、権威主義体制と政治エリートは政治的応答性の敏感度と範囲に関しいかなる特徴を有し、政治や経済等の分野別での違いはどこにあるかを分析する。2)「イノベーションの実施体制に関する研究」では、トップダウン型のシステムは政策/制度イノベーションの決定スピードや実行の有効性にどのような影響を与えるかを考察する。3)「イノベーションに関する地方間競争の分析」では、発展に関する地方間の競争はイノベーションの発生と拡散にいかなる影響を与えるかを考察する。
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研究実績の概要 |
政府はイノベーションによって政治的応対性を高めるため、民衆から様々な要求や不満を収集・整理することが重要である。西側では、独立したマスメディア、NGOや有権者との対話は問題発見の重要チャンネルであるが、中国政府は一党支配を維持するため、結社や言論の自由を制限し、政治批判の言動を抑えると同時に、公共問題を解決し、公共サビースを向上させる必要がある。2023年度の研究は人民代表大会と政治協商会議を有権者との対話チャンネルとして分析するほか、以下の苦情システムとその運営実態について資料収集と初歩的な分析を行った。1)地方の市民ホットラインである。各地方当局は1980年代後半から市長直通電話、機関別の苦情応答システムを開設したが、近年、各地方はデジタル技術を活かし、分野別の苦情システムを「12345市民サビースホットライン」に統合し、日常生活の関わる公共サビースに関する苦情を受理・処理する。窓口の一本化、24時間受付、処理手続きの統一、対応部局の処理結果に対する事後の監督は新しい改善点である。2)陳情(信訪)システムである。政策の不備や役人の不正で個人ないし集団は重大な利益・権利がしばしば侵害されてきた。各級政府は信訪局を設置し、民衆から苦情を受け付け、地元と関係当局にその処理を促す。陳情者は当局に圧力をかけるため、抗議活動を展開することも多い。3)マスメディアの公式報道と内部報道である。記者らは日頃の取材で民衆の不満や要求をいち早く察知する立場にある。マスメディアの公式報道は当局の立場を前提に公共問題や住民の苦情を取り上げているが、公式報道が規制される重大な事件、問題について、内部報道(各種の内部参考の報道紙)の形で指導者に注意を喚起する。本研究は公式報道についてデータベースの収集と統計分析、内部報道については公開された事例を通してそれぞれの役割分担について分析を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析の枠組みの構築、理論的な検討はほぼ予定通りに行われているが、中国国内の事情の変化によってデータの収集や現地調査は予定より遅れるため、実証研究もやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)予算の繰り越しを申請して、研究プロジェクトの終了期間を2025年度まで延期し、可能な範囲で実証研究の完成に必要とされるデータ収集を収集し、現地調査を実施する。2)中国の専門家を日本に招聘する形で、ヒアリングを行う。
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