研究課題/領域番号 |
21K18135
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (60255601)
|
研究分担者 |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
中石 ゆうこ 県立広島大学, 公私立大学の部局等(広島キャンパス), 准教授 (20535885)
渡部 倫子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30379870)
永田 良太 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10363003)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
|
キーワード | 外国児童支援 / アセスメント開発 / 語彙運用能力 / 語彙力と学力の関係 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,教育現場では日本語支援が必要な外国人児童生徒が急増しているが.日本語の語彙や表現が広がらず進学を断念するケースが多く報告される.外国人児童,生徒への日本語教育の機会拡充,学習教材提供などが、喫緊の課題である.この課題に取り組むべく,本研究では日本語学習に困難をおぼえ,学業も伸び悩む児童生徒の日本語学習の現在の課題を明らかにするとともに,個別の特性やニーズに沿った包括的な日本語支援のための指導法と指導教材を確立し,これまでに日本語教育が十分に目を向けていない認知科学の学習理論に依拠して,「ことばの運用力」と「ことばの学習力」とを含めた包括的な支援に向けたアセスメントと教材の開発を行う.
|
研究実績の概要 |
「語彙の広さ」を測ることや「ことばの深さ」を測ることを目的として開発した言語運用能力アセスメントを発展させ、算数の基本問題を加えたアセスメントとして完成させた。本年度は中学生版を作成し複数の都道府県(中国地方2県、東北地方1県)にて計11校の協力を得て、アセスメントを実施した。 実施した中学生版のアセスメントには小学生版のアセスメントにおいて正答率が低かった概数の計算や分数比較の問題を含めた。その結果、正答率が全体的に低い生徒たちは、中学の範囲だけでなく、小学生版アセスメントの問題においても正答できていないということが明らかとなった。これは、小学校の時点で理解できていない内容(例えば分数の概念)について、何ら理解が進まないまま中学校に進学してしまった生徒が一定数学年内にいるということであり、例え表面上、分数の計算や操作ができるようになっているように見えても、小学校における躓きを中学生になっても克服できないまま、中学校の内容を学習しているということになる。さらに、各人の確信度(その解答に自信があるか)の回答から、正答率が低い生徒は確信を持って間違っていることもデータ化することができた。つまり、正答率が低い生徒たちは分からないから間違えるだけではなく、本人が分かっていないことが分かっていないために、自分の知識や考えを修正できずにいるという実態が鮮明になった。これらの結果について、教員へのフィードバックを行い、生徒が自らの躓きに対し気づき、それを克服できるような指導に繋げられるようアセスメントの集計・提示についても研究を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はアセスメントのICT版を開発し、タブレット端末が市から配布されている中学生を対象に本調査を実施した。この際、タブレット端末での問題の確信度や選択時間なども同時に記録し、データ化した。また、技術的な点であるが、複数の都道府県において調査を実施したため、タブレットの仕様やOSが、それぞれバラバラであった。そのため、本年度はAndroid, iOS, Windowsに対応できるように、アセスメントのシステムを改訂を行った。これにより現在教育現場において用いられているほぼ全てのタブレット端末にて、本研究のアセスメントICT版が実施ができる体制となった。本研究において明らかとなった結果は、研究成果として論文にまとめ、既に学術誌に投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、認知科学・学習科学の言語習得理論と学習理論に則り、アセスメントを実施するだけではなく、実施したアセスメントの結果について児童を指導する教員に対しどのように可視化し提示するかをシステム化していく。つまり、「単なる各単元の学力の得点のテスト」ではなく、結果のアナライザーおよびサポーターとしての教員のための指導指針をもたらすよう、教員用提示システムの改良を進め、生徒へのより手厚い指導にどのように繋げられるかを検討していく。さらに、本研究で得られた結果は広く社会に知られるべきであり、一般書の執筆も合わせて進める。
|