研究課題/領域番号 |
21K18139
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 (2023) 国立研究開発法人情報通信研究機構 (2021-2022) |
研究代表者 |
苧阪 満里子 大阪大学, 先導的学際研究機構, 招へい教授 (70144300)
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研究分担者 |
山井 弥生 (斉藤弥生) 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40263347)
吉村 貴子 京都先端科学大学, 健康医療学部, 教授 (40454673)
大沢 愛子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (10388944)
山口 宰 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 特任准教授 (10756901)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | ワーキングメモリ / 加齢 / ワーキングメモリ評価法 / 脳内ネットワーク / 認知症 / 認知症ケア / 認知症予防 / 動的均衡 |
研究開始時の研究の概要 |
生涯にわたり健康な脳を維持し豊かな社会生活を維持できることは、現代の高齢化社会の大きな目標である。しかし、高齢者の認知症の症状は、様々な社会不適応を引き起こし、徐々に自己と社会を分断に導きかねない。 本研究では、高齢者の認知症を引き起こす重大な原因となるワーキングメモリ(working memory)に着目して、その機能維持と回復を目指す。特に高齢者のワーキングメモリの評価法を基に、ワーキングメモリの脳内ネットワークと安静時ネットワークとの相互作用に注目して、その動的平衡を図ることから、認知症改善、介護場面へと適用することを目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、高齢者の認知症を引き起こす重大な原因となるワーキングメモリ(working memory)に着目して、その機能維持と回復を目指す。ここでは、高齢者のワーキングメモリの評価法を基に、ワーキングメモリの脳内ネットワークと安静時ネットワークとの相互作用に着目して、その動的平衡を図ることから、認知症改善、介護場面へと適用することを目標とする。 研究代表者の苧阪は、高齢者の安静時とワーキングメモリ課題遂行時のネットワークの相互作用についてまとめ、高齢者では両ネットワークの相互作用が若年者に比べて低下している結果を得た。そして両ネットワークの相互作用がワーキングメモリの維持に重要であるとの知見を得た。米国との共同研究で論文が国際誌に掲載された。 また、研究分担者の大沢は健常高齢者を対象にした脳波測定結果を基にして、認知症高齢者向けに脳波測定を実施する方法の確認、対象者の検討、および研究実施機関におけるスケジュール調整などの研究準備を行った。また吉村は、軽度認知症、認知症高齢者及び健常高齢者のワーキングメモリを含めた認知機能評価を実施し、継続してデータを収集し、データ整理、分析を行なった。 さらに斉藤は高齢者介護施設への外部者の出入り制限が続いている事情から、2024年度の実験実施に向けた準備を行うとともに、国内外の地域包括ケアシステムに関する調査等を先行して進めた。また山口は、認知症高齢者グループホームをフィールドとし、コミュニケーションロボット「CommU」を利用者に介入させることにより、ロボットが認知症高齢者に与える効果を測定する実験の準備を行った。またスウェーデンのリンネ大学の協力を得て、認知症予防・認知症ケアに関する現地調査を実施した。さらに、これまでの研究成果を整理し、書籍・論文・Web媒体等において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスのため、高齢者施設における実験が困難になったが、この間に2024年度に実施する実験や調査の準備をおこない、またこれまで測定した結果を分析するとともに集約し、計画がおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、高齢者のワーキングメモリの健全な維持と強化を目標とする。 そのため、ワーキングメモリの脳内ネットワークと、安静時に増強する安静時ネットワークの相互作用の競合を高められるように、安静と認知活動における脳の働きを高める練習を行う予定である。また、高齢者のワーキングメモリの健全な維持と強化を目標とする。 研究代表者の苧阪は、WMN とDMNの脳内ネットワークの相互関係に関して研究を進め、安静時ネットワークの増強のために、ニューロフィードバックにより脳活動を強化して、安静時ネットワークを調整してワーキングメモリを健常化する試みを計画する。 研究分担者の吉村と大沢は、軽度認知症、認知症高齢者を対象として、ワーキングメモリ評価と行動特徴の取得を行い、認知症とワーキングメモリの評価法との関連も調べる。さらに評価法を用いて早期認知症診断法を可能とすることを計画する。 斉藤は山口とともに、介護を必要とする高齢者、認知症者に対して、子供型のコミュニケーションロボットを導入して、長期記憶を想起させ、他者とのかかわりを引きだすこと等により、社会脳を促進する試みを計画する。こうした試みにより、脳の安静を引き出し、安静時ネットワークとワーキングメモリネットワークのバランスを調整する試みを計画している。
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