研究課題/領域番号 |
21K18142
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 昌宏 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50182647)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
24,830千円 (直接経費: 19,100千円、間接経費: 5,730千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 特異拡散 / 不均質媒質 / モデリング / 逆問題 / 非整数階偏微分方程式 / 数学解析 / 拡散現象 / 放射線量等予測 / 汚染源推定 / 数値手法 |
研究開始時の研究の概要 |
1.環境中の汚染予測という社会性が極めて高い課題に数学の立場から取組み、現場で利用可能な手法の構築を目指し、より合理的な予測手法を確率して、数学による社会貢献の「視える化」を実現する。 2.本課題はラプラス方程式をはじめとする定常場・非定常場の偏微分方程式に対する色々なタイプの逆問題として記述できるが、これまで等閑視されてきたこのような逆問題の数学的な研究を、現実からの強い要請に基づいて推進する。それにより従来の数学研究の体系において、現実を直視して柔軟な課題設定で数学に取り組む方向性を示し、数学自身の研究領域の拡大を促す。
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研究実績の概要 |
令和 4 年度はコロナの感染状況が好転し、計画していた出張や研究打合せが完全でないもののかなりの程度まで回復した。そのような状況を受けて以下のように本研究を遂行した。 (1)土壌中の汚染物質の拡散などの現象は、不均質媒質中の特異拡散ととらえることができる。そのためのモデル式は色々提案されているが、ここでは時間方向に履歴の効果を考慮した非整数階拡散方程式を主要なモデル式としている。方程式は非整数階微分を含むので、伝統的な微分積分学の枠組みではなく非整数階微分積分学を近代的な関数解析的な偏微分方程式論に見合う形で完成させる必要がある。そのような基礎付けは必ずしも一通りとは限らないが、近代的偏微分方程式論に適合し、そのうえで応用にも適した理論を独自に構築し、公表した。 (2)そのようなアプローチを補完するものとして、より作用素論に基づいた非整数階偏微分方程式論をナンシー・ロレーヌ大学(フランス)の Mourad Choulli 教授と今年度も遂行した。 (3)本課題の遂行のためには、モデル式の物理パラメータの定量的な推定のために、方程式の係数やソース項を解の限定された情報で決定するという逆問題が必要不可欠になる。非整数階偏微分方程式の逆問題は現象の多様性を直接反映し、多岐にわたる。そのような逆問題について連続講義をバーリ(イタリア)で行い、研究計画の今後のグランドデザインの展望を示した。 (4)非整数階偏微分方程式の非線形理論の構築を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度からコロナ禍で主要な活動がリモートの形態となり、2022年度は対面の活動は回復したものの、環境などの現場での問題の探索、議論についてはまだ完全ではなかった。一方で理論面での成果についてはきわめて順調である。しかしながら、研究計画の遂行については想定外となる停滞はなく、次年度は現場との連携を活発にできることが想定できる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)現場には本研究計画の数理的な解析を必要としている問題と解決への要請がいろいろある。そのような問題の探索、数学解析、工学者など現場に近い研究者との連携を当初の計画通りに遂行する。現況の社会状況から、行動制限が生じる可能性は低く、適正な遂行が想定できる。 (2)理論面での研究を引き続き発展させ、現場の研究者と連携し、厳密で整合性があるだけではなく現場の課題に役立つ数学理論を構築していく。 (3)活動の様態も、研究集会の参加、成果発表、研究連絡など通常の形で実行していく。
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