研究課題/領域番号 |
21K18162
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
水野 毅 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (20134645)
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研究分担者 |
高崎 正也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10333486)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 力測定 / ゼロコンプライアンス / 原子間力顕微鏡 / 走査型顕微鏡 / 走査プローブ顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
ゼロコンプライアンス式力検出機構を利用した走査プローブ顕微鏡を開発する.ゼロコンプライアンス機構とは,大きさの等しい正のばねと負のばねを直列に接続して構成される支持機構である.このような支持機構でプローブを支持すると,プローブ先端に力が作用しても,その位置と姿勢を変えない状態で,二つのばねの接続点の変位から高感度の力検出が行える.本研究では,このような力検出機構を備えた走査プローブ顕微鏡を開発する.
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き,探針先端に力が作用しても,先端の位置及び姿勢が変わらないプローブの開発を試みた.3自由度ゼロコンプライアンス機構をMEMS技術を利用して実現するのは技術的に難しいので,1自由度の支持機構を二つ組み合わせるような構造の2自由度支持機構を設計・製作することとした. (1)2自由度ゼロコンプライアンス機構の設計 目標とするプローブ支持機構では,カンチレバーを固定している部材(以下では検出体と呼ぶ)の鉛直方向の位置と姿勢を変えることによって,探針先端の位置及び姿勢(角度)を制御する.本年度は,このような2自由度を対象としたゼロコンプライアンス機構を設計した.装置を設計する上で考慮したことは,作用点となる可動体(作用体)の変位検出とアクチュエータである.作用体が回転運動をすると,これらの電極間隔が変わって,短絡を引き起こす可能性があるので,二つの可動体を板ばねによってそれぞれ1自由度の並進運動をするように拘束し,さらに二つの可動体を板ばねで結合したものを作用体とした.ばねで拘束された二つの可動体に対してゼロコンプライアンスが達成されたとき,作用体は元の状態を保っている.したがって作用体が一つの剛体の場合と同じ原理で力とモーメントの測定が実現できる. (2)2自由度ゼロコンプライアンス機構の製作 2自由度ゼロコンプライアンス機構をMEMS技術を利用して製作した.約6.8×3.6×0.2 mmの大きさとなった. (3)ゼロコンプライアンス機構の性能評価 製作した装置において,検出体及び作用体の位置検出及びそれぞれの静電アクチュエータによって力を発生できることを確認した. (4)3自由度ゼロコンプライアンス機構の設計 カンチレバー先端の変位と姿勢をMEMS技術技術を利用して測定することが難しいので,カンチレバーを用いない新たな3自由度力検出機構を設計・製作することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MEMS技術を利用した1自由度ゼロコンプライアンス機構の開発自体には成功している.カンチレバー先端の運動を解析してみると,先端に鉛直方向に力が作用した場合,力と直交する方向の変位は,鉛直方向の変位と比較して一桁小さいので,鉛直方向の並進運動及びこれと直交する軸周りの回転運動の2自由度を対象とする支持機構でも,「厳密な力検出」という目標は十分に達成できると考えられる.このような考えに基づいて,2自由度ゼロコンプライアンス機構の設計・製作を実施し,センサ及びアクチュエータが動作することは確認した.しかしながら,位置検出センサの出力が安定しなかったので,閉ループ制御を実現するには至らなかった.このため,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
(1)カンチレバー先端の変位と姿勢をMEMS技術を利用して測定することが難しいので,カンチレバーを用いない新たな3自由度力検出機構を開発する. (2)新たに開発するプローブ支持機構は,開発に成功している1自由度力検出機構を複数個組み合わせることによって,多自由度ゼロコンプライアンス機構を実現するものとする. (3)MEMS技術を利用して製作した1自由度ゼロコンプライアンス機構では,作用点も板ばねで支持して運動を1自由度に拘束していたが,その剛性が測定分解能にどのような影響を与えるかについては,これまで,検討されてこなかった.本年度は,この影響を定量的に評価する実験装置も新たに設計・製作して,支持剛性と分解能との関係についての知見を得る.
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