研究課題
挑戦的研究(開拓)
本提案では、研究代表者らが長年にわたり開拓してきた超高品質の強磁性金属/半導体ハイブリッドヘテロ構造作製技術および極微細加工技術を用いることにより、10 nm程度のチャネル長のスピントランジスタを実現し、バリスティック伝導を誘起することにより高い磁気抵抗比を得ることを目指す。スピントランジスタを実現する上での長年の問題点を、このような新しい技術を導入することにより克服することを目指す。
SrTiO3基板上にエピタキシャル単結晶強磁性酸化物LaSrMnO3(LSMO)薄膜を成長し、6μm幅の棒状デバイスを作製した。その中間位置に、本研究課題で開拓してきたナノチャネル作製技術を用いて36 nm程度の長さの局所領域にアルゴンを照射し、本来金属であるLSMOを半導体に相転移させることによって、エピタキシャルの強磁性体/半導体/強磁性体構造からなるスピントランジスタを作製することに成功した。測定の結果、半導体を用いたスピントランジスタでは実現が困難であった140%もの大きなスピンバルブ比を実現することに成功した。本成果は、酸化物を用いれば半導体では実現が難しかった新たな機能性を実現できる可能性を示している。本成果はAdvanced Materials誌に出版され、プレスリリースを行った。従来、磁気抵抗スイッチ効果は電界によってのみ制御がなされてきた。我々はFe/MgOからなる2層電極をもつGeのチャネル長20nmのナノチャネルデバイスを作製し測定を行ったところ、予期せず、25000%におよぶ大きな抵抗変化を示す抵抗スイッチ効果を観測した。さらに、磁場印加により抵抗スイッチ効果の大きさが増大することが明らかとなった。抵抗スイッチ効果を磁場で制御できる新たな可能性を示す結果と言える。理論的に導電性フィラメントの構成要素としてMg欠損が極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。Mg欠損をこのような抵抗スイッチ効果の磁場依存性の実現に使えることは全く知られていなかった。酸化物中の陽イオンの欠損の有用性を示す意外な結果であり、学術的な意義も大きいと考えている。本成果はAdvanced Materials誌に出版され、プレスリリースを行った。
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Advanced Materials
巻: - 号: 23 ページ: 2307389-2307389
10.1002/adma.202307389
巻: 未定 (Accepted) 号: 28 ページ: 2300110-2300110
10.1002/adma.202300110
http://www.cryst.t.u-tokyo.ac.jp/ohya/