研究課題/領域番号 |
21K18168
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
種村 拓夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90447425)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2021年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 光集積デバイス / ニューラルネットワーク / 集積フォトニクス |
研究開始時の研究の概要 |
将来のユビキタスAI時代においては,深層ニューラルネットワーク(DNN)による演算を省電力に行う技術が求められる.DNNの線形処理部に光集積回路を用いることで,チップ内を光が伝搬するだけで演算が完了する究極的に低消費電力かつ低遅延の演算が可能になる.本研究では,従来手法と異なる多面光波変換法に基づくスケーラブルな光ユニタリ変換回路を用いることで,この線形行列演算を光領域で高速に実現することを目的とする.本技術が実現すれば,DNNに加え,光通信,イメージング,量子演算など広範な分野への応用展開が期待される.
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研究実績の概要 |
本研究は、多面光波変換法に基づくスケーラブルな光ユニタリ変換回路を用いることで、任意の線形行列演算を光領域で高速に実現することを目的とする。このような回路を深層ニューラルネットワークの線形処理部に適用することで、チップ内を光が伝搬するだけで演算が完了する究極的に低消費電力かつ低遅延な処理が可能になる。具体的には、数ミリ角の半導体チップ内に多数の光回折部と光位相シフタ部を高密度に集積し、光の回折と波面制御を繰り返すことで任意の線形演算を行う。従来手法とは本質的に異なり、チップ内での光の回折現象を直接利用することで、光波の空間並列性のメリットを最大限活かしながら、作製誤差に対してもロバストな、真にスケーラブルな光演算回路を実現することを目指している。 2023年度は、前年度までに設計・試作した光回路を駆動・制御するための実装部と電子回路部を完成させ、深層ニューラルネットワークの実験を開始した。まず、大量の電極を同時に駆動する際に出力電圧が不安定になる問題の原因を突き止め、スナバ回路による補償回路を挿入することで安定化させた。また、光回路の温度制御機能を改善するために、サーミスタとペルチェ素子を取り付け自作の温度調整素子を作製し、汎用コントローラにより精密に制御することに成功した。さらに、光受信回路にトランスインピーダンス増幅回路を導入することで、検出感度を大幅に改善し、学習効率を向上させた。以上の改善を踏まえ、全ての光位相シフタ部を動作させることで、機械学習が行えることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標である光演算回路を用いた深層ニューラルネットワークの実験実証に向けて、順調に準備を進められた。光回路上の大量の光位相シフタと光検出部の駆動・制御を行う上で、電子回路内の発振や光素子の発熱に伴う温度変動など、当初予期していなかった様々な問題が発生したが、一つずつの問題を入念に調べて解決することで、基本的な動作確認に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果に基づき光演算回路の実証実験を進めることで、MNISTデータセットを用いた手書き文字認識など、ベンチマークタスクを実証する。これにより、従来構成に比べて光位相シフタの数を大幅に削減したスケーラブルな特性を実証し、最終目標を達成する。
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