研究課題/領域番号 |
21K18171
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
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研究分担者 |
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
久保田 健吾 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80455807)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 都市下水 / 感染症 / 免疫細胞 / ヒト抗体遺伝子 / 抗体医薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、都市下水からの抗体遺伝子回収・解析手法の開発、抗病原体抗体遺伝子の選抜手法の開発、及び抗体医薬合成手法の開発に取り組む。都市下水からの抗体遺伝子回収・解析手法の開発においては、都市下水中からターゲットである抗体遺伝子配列を増幅し配列解析を行う一連の技術を開発する。抗病原体抗体遺伝子の選抜手法の開発では、ある特定の病原体由来抗原をターゲットとして、特異的な抗体遺伝子をバイオパンニングにより選抜する技術を開発する。抗体医薬合成手法の開発においては、培養B細胞における対象ゲノム領域を下水から得られた抗体遺伝子と組み換えることで、培養B細胞から目的とする抗体を分泌させる技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究は、都市下水から回収した免疫細胞由来遺伝子を用いて抗体医薬の合成を行う手法の開発に取り組むものである。研究3年度である令和5年度においては、新型コロナウイルス感染症が発生していた期間に採取して保管してある下水を対象として、免疫細胞由来遺伝子の取得を継続的に試みた。標的を主要なリンパ球であるT細胞に由来する遺伝子とし、下水サンプルから抽出した遺伝子を鋳型として、抗原を認識するT細胞表面上の受容体分子であるT細胞受容体(T cell receptor:TCR)を標的とした各種PCRを行った。PCRにおいては、アニーリング温度及びサイクル数の調整を行った。その結果、複数の下水サンプルから標的サイズのPCR産物を得ることに成功した。得られたPCR産物の配列解析を行ったところ、1つのサンプルからTCR由来配列を得ることに成功した。得られたTCR由来配列は、T細胞がヒト体内で抗原と相互作用する際に使用するタンパク質の一部をコードしていた。対象となる抗原は現段階で不明であるが、今回PCRに成功したプライマーで複数の下水から増幅産物を得て、増幅産物に対して次世代シーケンスを行うことにより、多様な抗原に対応するT細胞由来遺伝子が取得できるものと期待される。研究最終年度である令和5年度においては、令和3年度と4年度に下水から得られた免疫由来細胞遺伝子に対して次世代シーケンシング解析を行い、遺伝子配列の多様性を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度に得られたT細胞受容体(T cell receptor:TCR)は、遺伝子再構成などの機構により多様な遺伝子配列が得られ、その多様性は10の18乗に達すると言われている。TCR由来配列を下水から取得することに成功したことは、今後の下水中免疫細胞由来遺伝子の活用において重要な成果であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に下水からT細胞受容体(T cell receptor:TCR)遺伝子配列を得ることに成功したが、その陽性率は非常に低い状況である。得られた配列の配列解析を進めると同時に、下水からのTCR遺伝子配列増幅効率を改善する必要がある。そのために、プライマー配列の見直し、マグネシウム濃度の調整、アニーリング温度の最適化、伸長反応時間の調整、及び遺伝子増幅反応阻害物質の除去などを試みる。
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