研究課題/領域番号 |
21K18179
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 俊洋 東北大学, 工学研究科, 教授 (60451530)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | エントロピー / 熱力学 / 状態図 / 相変態 / 超弾性 / 形状記憶効果 / マルテンサイト変態 / 相安定性 / 形状記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで,超弾性合金における応力の温度依存性は不可避的で制御困難と認識されてきた中,本研究では,温度依存性の制御を可能にするためにエントロピー差を考慮した合金設計に挑戦する。Fe系,Cu系,Co系形状記憶合金におけるエントロピーの実験的決定と熱力学解析に基づき,エントロピーを積極的に考慮した合金設計手法を提案する。また,合金設計に基づき,応力の温度依存性のない超弾性,極低温から駆動できる形状記憶効果を発現する形状記憶合金を開発する。
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研究実績の概要 |
Fe-Al系、Fe-Mn-Al系、Fe-Mn-Al-Ni系合金において、極低温から約500Kにおける定圧比熱を緩和法、熱流束法により精密に測定した。様々なAl濃度を有するFe-Al、Fe-Mn-Al合金を作製し、BCC相の比熱を測定してAl濃度と比熱、さらにはデバイ温度との関係性を明らかにすることができた。また、Fe-Mn-Al-Ni系合金ではBCC相とFCCマルテンサイト相の比熱を測定した。これまでに得られているFe-Ni系、Fe-Al系、Fe-Mn-Al系、Cu-Al-Mn系、Co-Cr-Al-Si系の比熱測定結果を解析し、比熱やエントロピーに対する格子振動、電子、磁気の寄与を推定して各合金系の特徴を明らかにした。Cu-Al-Mn系は極低温域でBCC相とFCC相のエントロピー差が非常に大きく、今後、格子振動の特異性を明らかにする必要性があることが判明した。Fe系はBCC相とFCC相のエントロピー差が小さく、合金元素や磁気変態の影響が顕著に表れることがわかった。このことを利用して、形状記憶効果による発生仕事量の向上や超弾性の温度依存性低減に向けた合金設計ができる可能性が示された。 また、Fe-Al系をモデルケースとして、CALPHAD法により低温域から高温域までをカバーする熱力学モデルの検討を行った。実験で得られた比熱の結果を用いた検証を行いながら、アインシュタインモデルなどを応用したGibbsエネルギーの記述を行った。過去の状態図や熱力学パラメータの情報も利用し、Fe-Al系固溶体相を計算により再現することができた。これまで困難であった低温域も考慮した計算状態図手法に発展できる可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度で確立した定圧比熱の測定方法を利用し、様々な合金系における比熱測定を実施することができた。これらの結果を解析することで各合金系の熱力学的特徴を整理することができ、さらに、今後の合金設計の方向性を見出すことができた。また、状態図計算の先進的手法にも取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
各合金系の比熱やエントロピーの特徴を理解できたことで、今後、形状記憶効果や超弾性で特徴を有する材料の開発に繋げることができる。次年度以降、マルテンサイト変態や形状記憶効果や超弾性の機能性の評価を行っていく予定である。
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