研究課題/領域番号 |
21K18181
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
笹川 崇男 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30332597)
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研究分担者 |
三澤 哲郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (40635819)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 非磁性半金属 / 超高速電子移動度 / 超巨大磁気抵抗 / 単結晶 / 第一原理計算 |
研究開始時の研究の概要 |
相対論効果や結晶および電子軌道の対称性(既約表現)に基づいて発現する特徴的な電子構造をもつ非磁性半金属を対象として、キャリア移動度および磁気抵抗変化率(MR)で未踏領域の特性値を示す物質の創製に挑戦する。開拓研究としての到達目標は、それぞれの特性値(MRは9 Tの磁場下で標準化)として、① 極低温(0.5 K)での世界記録、② 室温(300 K)での世界記録、を実現し、それらを次々に自ら更新してゆくことである。本研究を通じて、省エネ高速デバイスや、磁気センシング用の素材となり得るこれらの物質について、新たな概念に基づいた探索や設計への学術的な指針の確立も期待される。
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研究実績の概要 |
相対論効果や結晶および電子軌道の対称性(既約表現)に基づいて発現する特徴的な電子構造をもつ非磁性半金属を対象に開拓を行うという戦略のもとで、キャリア移動度および磁気抵抗変化率(MR)で未踏領域の特性値を示す物質の創製に挑戦した。 開発のスキームとして、超高速キャリア移動度(μ∝τ/m*)の実現に向けて、物質固有の電子有効質量(m*)を極端に小さくできるグラフェンに類似した線形電子分散(ディラック型)および派生した特徴的な電子構造(ワイル型、ノーダルライン型、ノーダルリング型など)をもつ半金属を第一原理計算も活用しながら探索し、選定した物質を高品質な単結晶試料として準備して実験実証を行うという手順により、研究を推進した。 候補物質について化学組成や欠陥量を精密制御した純良単結晶試料の準備に取り組み、キャリア移動度や磁気抵抗変化率を含めた磁気輸送特性の詳細な評価が順調に進んだ。 学会発表や論文発表にまで至った本年度に扱った物質は、MoS2, MoSe2, WS2, WSe2, WTe2, ReSe2, TiS2, h-BN, In2Se3, Fe-BiSbTe2Se, Bi2Se3, NiS2, WOx, ZrSiS, HfSiS, d-MoTe2, 2M-WS2, NbTe2, La1.85Sr0.15CuO4, TaSe2, Fe(S,Se) など多岐にわたり、中でも ZrSiS と HfSiS においては、キャリア移動度および磁気抵抗変化率の既報値を数倍更新することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
物質・特性開拓について設定した研究戦略の遂行が順調に進み、MoS2, MoSe2, WS2, WSe2, WTe2, ReSe2, TiS2, h-BN, In2Se3, Fe-BiSbTe2Se, Bi2Se3, NiS2, WOx, ZrSiS, HfSiS, d-MoTe2, 2M-WS2, NbTe2, La1.85Sr0.15CuO4, TaSe2, Fe(S,Se) など、多岐にわたる物質を高品質な単結晶試料として開発し、それぞれについての成果を学会発表や論文発表を行うことができた。中でも ZrSiS と HfSiS においては、キャリア移動度および磁気抵抗変化率の既報値を数倍更新することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
相対論効果や結晶および電子軌道の対称性(既約表現)に基づいて発現する特徴的な電子構造をもつ非磁性半金属を対象として、第一原理計算・単結晶開発・物性精密評価の連携によって、キャリア移動度および磁気抵抗変化率(MR)で未踏領域の特性値を示す物質の創製に引き続き挑戦してゆく。 大型単結晶の準備が難しい物質や、van der Waals 層状化合物をへき開したマイクロ薄片などの微小単結晶を対象としたデバイス化測定が可能な技術の開発にも大きな進展があったので、新たな切り口として活用してゆきながら研究を更に推進してゆく。
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