研究課題/領域番号 |
21K18192
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 修平 京都大学, 高等研究院, 教授 (90452276)
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研究分担者 |
猪瀬 朋子 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (10772296)
亀井 謙一郎 京都大学, 高等研究院, 研究員 (00588262)
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 多孔性材料 / 一酸化窒素 / ポンプ・プローブ法 / ナノワイヤ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究「生体ガスポンプ・プローブ法を用いた一酸化窒素拡散挙動と血管機能相関の可視化」では、血管機能の制御・改善に向け、一酸化窒素(NO)を放出する多孔性ナノ粒子を用いて、単一細胞内・血管組織におけるNOの拡散ダイナミクス及び空間分布情報とNOにより惹起される細胞機能の相関を可視化し、生体内NOの真の挙動を明らかにする。
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研究実績の概要 |
心疾患と脳血管疾患は、長年日本における死因の第2,3位を占めており、今後社会の高齢化が加速する中で、その治療は公衆衛生上最も重要な課題の一つである。生体内で産生される一酸化窒素(NO)は、血管弛緩・拡張を惹起することが知られており、その効果を活用した治療薬への応用が期待されている。しかしながら、現在の治療法ではNOを体内の狙った場所へ伝達することが困難であり、今後NOをより汎用性の高い治療薬として活用するためには、治療部位でのNOガス拡散の時空間的挙動と血管機能の相関を解明し、必要最低限のNOの利用へとつなげる必要がある。 本研究「生体ガスポンプ・プローブ法を用いた一酸化窒素拡散挙動と血管機能相関の可視化」では、血管機能の制御・改善に向け、一酸化窒素 (NO)を放出する多孔性ナノ粒子を用いて、単一細胞内・血管組織におけるNOの拡散ダイナミクス及び空間分布情報とNOにより惹起される細胞機能の相関を可視化し、生体内NOの真の挙動を明らかにする。 今年度は、前年度に成功したNOF-1のナノ粒子をコートした銀ナノワイヤーを用いて、光によるプラズモン熱によりNOが発生可能であることを蛍光顕微鏡で確認した。さらにNOF-1コート銀ナノワイヤーを用いた単一細胞内視鏡技術により、単一細胞内においてNOの発生を光刺激により制御することに成功した。さらに、プラズモン熱によるNO放出の効率を向上させるため、より小さい粒子径をもつ金属体多面体(MOP)を用いた新しいNO放出材料の合成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度に成功した多孔性金属錯体を銀ナノワイヤーに固定する手法を拡張子、NO放出多孔性金属錯体であるNOF-1をコートした銀ナノワイヤーからの光刺激によるNO放出を蛍光顕微鏡を用いて確認した。さらに、その発生が光によるプラズモン熱の発生と、熱によるNO放出であることを確認した。このNOF-1コート銀ナノワイヤーを用いて、単一細胞内視鏡技術により細胞内におけるNO放出も蛍光顕微鏡により確認した。 一方で、新しいNO放出多孔性金属錯体である金属錯体多面体(MOP)の合成にも着手した。これまでのNOF-1のナノ粒子とは異なり、MOPは分子でありサイズが1桁以上小さい(約3nm)程度、そのため銀ナノワイヤーからのプラズモン熱によるNO放出効率がさらに上がることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度成功した単一細胞内におけるNO放出と、次年度開発予定のNO検出法を組みわせることで、生体ガスポンプ・プローブ法の開発を進める。さらに、平滑筋細胞と組み合わせることで、実際に放出されたNOが平滑筋の形態変化に与える影響を詳細に調べる。
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