研究課題/領域番号 |
21K18204
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
荒井 孝義 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (80272483)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
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キーワード | クーロン相互作用 / 赤外光 / 振動エネルギー / 反応化学 / フロー合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、『赤外光による反応基質もしくは反応中間体の官能基選択的な活性化』によって斬新な分子変換法を創出する。官能基選択的活性化を達成するための鍵は、『官能基が照射光の波長に強い吸収を有すること』そして『照射光のエネルギーを吸収した後、そのエネルギーが分子全体の振動エネルギーに発散せず、目的とする結合解裂に用いられること』である。この要求を満たす結合としてイオン結合を選択する。赤外光によってクーロン相互作用が強いイオン結合を選択的に活性化することで官能基選択的な活性化を実現し、反応化学・触媒化学を変革するとともに、合成プロセスに強力な新手法を提供する。
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研究実績の概要 |
化学反応において、高い立体選択性を得ようとすれば、通常、反応温度を下げる。一方、反応温度を下げれば、反応は遅くなり、反応効率は悪化する。このジレンマを解消するには、低温反応条件下において、反応点となる官能基のみを合目的に活性化する手法が必要になる。原料や生成物は勿論、反応に用いる試薬ならびに触媒には、各々の分子が機能するために重要な官能基が存在し、それらの官能基には特徴的な赤外吸収(特性吸収帯)が存在する。本研究では、赤外光を用いることで「官能基選択的な活性化」を実現し、反応化学、触媒化学、合成プロセスに新手法を提供することを目的としている。 これまでに研究行ってきた赤外光によって加速が期待される代表的な反応系(ニトロアルケンへのチオールの共役付加反応など)について、反応基質が有する特性吸収帯に対応する赤外光の照射によって反応が加速されることを確認した一方、明瞭な吸収帯を有さない領域の波長の光を強く照射しても有意な加速を確認されず、官能基選択的な光加速効果が確認されてきた。 とくに、2023度は特に赤外吸収の強いカルボニル基を有する分子を中心に、求核基質にカルボニル基を有する反応系、求電子側の基質にカルボニル基を有する反応系(もしくはその双方)を検討した。カルボニル基を導入した基質を用いる事でより効果的に反応加速を確認できたが、生成物にカルボニル基が残存する場合には逆反応も起こりやすく、比較的速い平衡状態となることも確認された。赤外吸収を基軸とする反応開発の特徴かもしれないが、熱反応としても理解できる結果であり、熱反応との差別化が困難であることも示している結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に導入した「卓上型核磁気共鳴装置」により、多くの反応を逐次的に解析できるようになり、赤外吸収を基軸とする反応の特徴を分類できるようになってきた。研究計画書に当初申請していた「卓上型単結晶X線結晶構造解析装置」については、千葉大学共用機器センターに新型の大型単結晶X線結晶構造解析装置が整備され、精度良く分子構造並びに分子間相互作用を解明することができるようになっている。これにより、「研究実績の概要」に記載の成果を着実に得ている。 赤外光による反応特異性については、現状熱反応との差別化が不十分であり、改善しなければならないが、反応加速の効果は確認できており、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、赤外光によって反応が加速される系を見いだすことができているが、その多くは加熱反応でも実施することが出来るものであり、赤外光に特異的な反応とはなっていない。最終年度は、赤外光が真に官能基選択的に分子活性化しなければ進行しない反応系、具体的には金属カルボニル基を有する触媒の赤外光による選択的活性化やタンデム反応による平衡系からの脱却などを計画している。 溶液状態では分子運動による熱拡散も反応結果が熱反応によるものと差別化し難い要因になっている。熱拡散の影響を軽減するため、粉末もしくは結晶表面での反応への赤外照射も検討する計画である。この目的には、千葉大学共用機器センターに導入された単結晶X線結晶構造解析装置ならびに粉末X線結晶構造解析装置を用いる。 さらに最終年度の研究では、研究計画で立てた最終目標である二酸化炭素の赤外光励起にも取り組む。気体の二酸化炭素は勿論熱拡散が大きいため、MOFによるガス吸着や固体触媒による活性化などと融合して研究を推進する。
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