研究課題/領域番号 |
21K18214
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
佐藤 慎一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 特任教授 (70534478)
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研究分担者 |
萩原 正規 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40403000)
勝田 陽介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (50632460)
福田 将虎 福岡大学, 理学部, 准教授 (90526691)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 機能性RNA / 核酸 / 小分子化合物 / ケミカルバイオロジー / ビッグデータ / RNA編集 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,RNA編集が担う新規タンパク質翻訳制御機構の発見と革新的な核酸医薬設計法の確立を目標に掲げる.1.タンパク質翻訳に影響するアデニンからイノシンへのRNA編集(A-to-I RNA編集)により形成されるイノシン含有G-quadruplex構造 (iG4構造)の大規模探索を行う.RNA編集によるmRNA構造制御とそれに伴うタンパク質翻訳制御の機構の解明は,タンパク質翻訳制御機構に新たな学術概念を与える.2.DNA origami技術を応用してmRNA上のG4構造を近接させることで超安定高次構造を誘導する標的mRNA選択的な新規遺伝子ノックダウン法を確立し、革新的な核酸医薬創出に繋げる.
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研究実績の概要 |
【研究の目的と実施計画】 本研究では,RNA編集が担う新規タンパク質翻訳制御機構の発見と革新的な核酸医薬設計法の確立を目標に挙げる.目標1:タンパク質翻訳に影響するアデニンからイノシンへのRNA編集(A-to-I RNA編集)により形成されるイノシン含有G-quadruplex構造 (iG4構造)の大規模探索を行う.RNA編集によるmRNA構造制御とそれに伴うタンパク質翻訳制御の機構の解明は,タンパク質翻訳制御機構に新たな学術概念を与える.目標2:DNA origami技術を利用してmRNA上のG4構造を近接させることで超安定高次構造を誘導する標的mRNA選択的な新規遺伝子ノックダウン法を確立し,革新的な核酸医薬創出に繋げる. 【実績】 目標1において昨年度は,目標としていた2つの網羅解析(RNA seq.解析・プロテオーム解析)の再解析行った.具体的にはADAR1・ADAR2の過剰発現細胞およびノックダウン細胞にRGB-1を処理した細胞を回収し,細胞抽出液を作製後,iTRAQプロテオーム解析によりタンパク質発現量を比較した. また,同一の細胞抽出液からtotal RNAを調整して,RNA seq.解析を行い,mRNA発現量を比較した.これらRNA seq.解析とプロテオーム解析から得られた2つのビッグデータの組み合わせから,A-to-I RNA編集により誘導されるiG4構造の候補遺伝子を選出した.目標2において,mRNA上のG4構造を近接させることで超安定高次構造を誘導する方法論は実験的に確認できており,標的mRNA選択的な新規遺伝子ノックダウン法としての応用を細胞ベースの実験系により確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標1において,これまでの3年間の研究で,目標としていた2つの網羅解析(RNA seq.解析・プロテオーム解析)の解析から得られた2つのビッグデータの組み合わせから,A-to-I RNA編集により誘導されるiG4構造の候補遺伝子を選出できている.最終年度の候補遺伝子の評価により,世界で初めてRNA編集により制御されるmRNAを特定することで,RNA編集が担う生命現象の謎に大きな知見を与えられる.目標2において,Staple核酸を利用してmRNA上のG4構造を近接させることで,mRNA上に超安定高次構造を誘導することを確認できており,標的mRNA選択的な新規遺伝子ノックダウン法としての創薬応用への可能性を示している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には,目標1・目標2を完遂し,インパクトある国際的科学論文へ投稿を目指す.目標1では,すでにA-to-I RNA編集により誘導されるiG4構造の候補遺伝子を選出している.候補mRNAはG-quadruplex構造形成に必須のG-tract(GGG)3セットとAGGが極めて近接した配列を持つ.RNA編集がAGGをIGGに編集することも確認済みであるが,編集後のIGGのiG4構造形成能とそのiG4構造のタンパク質発現制御能の詳細を評価する必要がある.最終年度では,iG4構造の機能の詳細を明らかにし,論文投稿へと繋げる.目標2では,Staple核酸により2つのG4構造を近接させた超安定構造形成を確認できているので,この技術を細胞内mRNAに適用することで,革新的な核酸医薬創出に繋げる.
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