研究課題/領域番号 |
21K18215
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶原 康宏 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (50275020)
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研究分担者 |
和泉 雅之 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (80332641)
松尾 一郎 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (40342852)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 糖鎖 / 糖タンパク質 / 水和 / エリスロポエチン / 水和殻 / 膜糖タンパク質 / 揺らぎ |
研究開始時の研究の概要 |
基礎実験としてアミノ酸165残基からなるエリスロポエチン等を用いて、その糖鎖とタンパク質の結合様式が天然型および非天然型のものを合成し、その結合様式の違いが活性に及ぼす影響を調べる。そして、そのデータをもとに糖鎖の揺らぎを考察する。そして、いまだ誰も成功していない、膜7回貫通型のヒト糖タンパク質アクアポリン-1の合成に挑戦する。また、その糖鎖の結合様式を天然、非天然型に変えることでアクアポリン-1の活性の評価をおこなう。膜糖タンパク質の糖鎖が、大きく揺らぎバルクの水と相互作用することで自由水を発生させ、膜糖タンパク質の機能を推進しているという今まで議論されていない糖鎖の機能解明を目指す。
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研究実績の概要 |
R3年度では、エリスロポエチンがそのレセプターに結合する際、生じる複合体の界面に存在する糖鎖が複合体の安定性を向上させることを見出した。また、その際、天然型のN型糖鎖結合様式とそのアナログ型糖鎖結合様式では、エリスロポエチンのレセプターへの結合活性に影響がでることをみいだした。そこで、令和4年度は、さらに別のタンパク質複合体をモデルに、複合体界面に存在する糖鎖の影響を調べることとした。モデルとしては、抗体のFc部位に結合する小型タンパク質を選び、その複合体の界面に位置するところに故意にヒトの複合型糖鎖を結合させた小型糖タンパク質を新規に合成することに成功した。そして抗体との結合親和力を調べた結果、小型タンパク質の抗体への結合親和力が僅かではあるが向上することが確認できた。 そこで、ヒトのN型糖鎖の還元末端とタンパク質間の距離を可変した非天然型糖タンパク質の合成をおこなった。まず鶏卵から単離したN型糖鎖のアスパラギンを除去し、還元末端が遊離となった糖鎖を合成した。そしてアミノ基を導入後、グリシン、βアラニンをそれぞれ連結後、アミノ酸のアミノ基にクロロ酢酸を縮合し、非天然型結合様式の糖鎖を合成することに成功した。現在、これら糖鎖基質をシステインを導入した小型タンパク質にハロアセトアミド法で結合させ非天然型結合様式の糖タンパク質を合成している。 またアクアポリンの糖鎖と水の相互作用を調べる実験を検討しているが膜タンパク質であるアクアポリンの合成法に改良をする必要があった。幸い、糖鎖をペプチド中に脱着可能な方法で結合させることで、超難溶性のペプチドを可溶化する方法を見出すことに成功した。これは、世界的に問題とされている超難溶性のタンパク質の合成に大きな貢献をすることが期待できるものである。現在、この手法を種々な超難溶性のペプチドに連結し可溶化できるか検討をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年に続き、新規な糖タンパク質の合成に成功したことと、新しい複合体モデルを見出した。膜タンパク質上での糖鎖機能を解明するためのアクアポリンの合成はやや足踏み状態ではあるが、膜タンパク質をはじめとする様々な超難溶性ペプチド、タンパク質を可溶化することができる糖鎖保護基を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
新規に見出した小型糖タンパク質モデルに天然型、非天然型糖鎖を結合させたものを新規に合成し、糖鎖が複合体形成に与える影響を調べる。糖鎖保護基を利用した膜タンパク質合成法の検討を進める。
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